過失相殺

   交通事故において被害者にも過失があるケースは少なくありません。このように被害者にも事故の発生や損害の拡大に落ち度がある場合に,損害賠償額を減額する制度として過失相殺というものがあります。これは自らの故意過失に基づく損害を第三者に転嫁すべきでないとの公平の理念に基づく制度です。

 

  例えば,交通事故で被害者に500万円の損害が発生した場合に加害者の過失が80%,被害者の過失が20%とすると,被害者が請求できる損害額は400万円となります。

 

  交通事故では同一の事故類型が多いですが,同じ事故で過失割合が裁判官によって異なるのも法的安定性を害します。そこで現在では過失相殺の判断の基準として,過失相殺の認定基準表(別冊判例タイムズ16号)をもとに事故の態様がわかれば,大まかな過失割合がわかるようになっています。

 

  過失相殺は,まず各損害費目を合計して全損害額を算出し,総損害額から過失相殺して賠償額を算定します。ただ健康保険等の社会保険給付がある場合は損害額から保険給付額を引いた残額に対して過失相殺をします。

 

   なお,強制保険である自賠責保険は被害者保護の見地から設けられた保険であるので,被害者に70%以上の重過失がなければ過失相殺されません。