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【2021年最新版】交通事故の慰謝料の相場と計算方法

「加害者側から提案された示談金額が妥当なのか」、「このまま示談していいのか」…。
交通事故の被害にあったとき、このような疑問が浮かびませんか?

精神的損害を「慰謝料」としてお金で表現するのは難しいもの。
とはいえ、正しい慰謝料がいくらか知らずに示談をしてしまうと、思わぬ不利益を被ってしまう恐れがあるのです。

また、そもそも慰謝料とはどのような基準で算定されているかご存知でしょうか。
交通事故の被害にあったとき、適切な賠償を得るためにも事前に確認しておきましょう。

慰謝料とは?

交通事故の被害にあうとさまざまな損失が発生しますが、大きく3つに分類できます。

  1. 1 積極損害
    事故により発生した出費のことです。治療費や通院交通費などがあります。
  2. 2 消極損害
    事故が起こらなければ将来得られるはずだった利益のことです。逸失利益や休業損害などがあります。
  3. 3 精神的損害
    事故によって受けた精神的・身体的な苦痛や損害のことです。加害者側から慰謝料という形で補償されます。

今回は、③の精神的損害の「慰謝料」にスポットを当て、解説いたします。

慰謝料の種類

まず、交通事故にあった被害者が請求できる慰謝料は、次のとおりです。

  • 死亡慰謝料
    被害者が死亡した損害に対する慰謝料です。亡くなられた方と、そのご遺族の精神的苦痛を補償するものです。
  • 後遺障害慰謝料
    事故で後遺症が残ったことに対する慰謝料です。将来における苦痛や損害を補償するものです。
  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
    事故によるケガに対する慰謝料です。症状固定日に至るまでの精神的苦痛や損害を補償するものです。

では、慰謝料は何を基準に算定していくのか見ていきましょう。

慰謝料の3つの支払い基準

慰謝料の支払いには3つの基準があります。
①自賠責保険基準、②任意保険基準、③裁判所基準(弁護士基準)です。

ここで、「どの基準で計算すればいいの?」と疑問に思われますよね。
結論からいうと、もっとも金額が高くなるのは、③裁判所基準ですので、裁判所基準で計算されることをおすすめします。

では、どのような場合に裁判所基準による慰謝料を補償してもらえるのか、基準ごとの特徴も含めてご説明します。

①自賠責保険基準

まず自賠責保険とは、車を購入するときに加入が義務づけられており、「強制保険」とも呼ばれます。交通事故でケガを負った場合、この自賠責保険の基準にしたがい、治療費なども含めて、最高120万円まで補償されます。

また、後遺障害が残った場合は、後遺障害の等級ごとに自賠責保険基準による一定額が支払われます。

自賠責保険基準によるケガの慰謝料計算方法(2020年4月1日改定)

1日あたり

4,300円 × 通院期間もしくは日数 = 慰謝料

一見、簡単な計算式に思えますが、通院日数は次のうちいずれか少ないほうの日数で計算されることに注意が必要です。

  • 通院期間
    事故日から完治または症状固定日までの期間
  • 通院日数の2倍
    通院期間のうち、実際に医療機関へ通院した日数
    ※ただし重複通院の場合は1日としてカウントします。
自賠責保険基準による後遺障害の慰謝料計算方法

後遺障害慰謝料の自賠責保険金額は、後遺障害等級ごとに一定金額が決まっています。ただし、後遺障害が認定されなかった場合は、後遺障害慰謝料が請求できない点に注意が必要です。

()内は保険金総額
障害等級 障害等級
第1級 1150万円
(3000万円)
第8級 331万円
(819万円)
第2級 998万円
(2590万円)
第9級 249万円
(616万円)
第3級 861万円
(2219万円)
第10級 190万円
(461万円)
第4級 737万円
(1889万円)
第11級 136万円
(331万円)
第5級 618万円
(1574万円)
第12級 94万円
(224万円)
第6級 512万円
(1296万円)
第13級 57万円
(139万円)
第7級 419万円
(1051万円)
第14級 32万円
(75万円)

ご覧のとおり、自賠責保険基準の慰謝料金額は、裁判所基準と比較するとかなり低いことがわかります。

②任意保険基準

次に、任意保険は自賠責保険と異なり、加入するかどうかご自身で自由に選択できます。自賠責保険には支払い金額に上限があるため、実際の交通事故では充分な補償を得ることができない場合があります。

ここで登場するのが任意保険基準です。任意保険基準とは、任意保険会社が独自に定めている慰謝料計算の基準です。この計算方法は一般に公開されていないため、詳細はわからないことが多いです。任意保険に加入していれば、自賠責保険基準の金額に上乗せして補償されます。

実際にほとんどの保険会社は、この任意保険基準に基づいて交渉しています。交通事故の被害者になったとき、加害者側の保険会社から提案される慰謝料は、この任意保険基準で計算された金額だと思ってよいでしょう。

ただし、任意保険基準は自賠責保険基準に比べ慰謝料の金額が高くなる傾向にあるものの、裁判所基準と比べるとまだまだ低い金額であるいうことを理解しておきましょう。

つまり、3つの支払い基準は「自賠責保険基準 < 任意保険基準 < 裁判所基準」の順で高額となるのです。

③裁判所基準(弁護士基準)

最後に裁判所基準についてです。どのような場合に裁判所基準を適用できるのでしょうか。

まず、裁判所基準とは、弁護士や裁判官が用いる慰謝料の基準です。交通事故による慰謝料としては、この裁判所基準がもっとも適切な金額となるのです。

しかし加害者側と交渉を始めると、「裁判所基準は、裁判になった場合の金額なので、裁判にならなければ支払えません」などと断られてしまうことがほとんどです。

そこで、弁護士に依頼することが大きな意味をもちます。つまり、弁護士に依頼したということは、裁判になる可能性があることを示すことになります。加害者側は、裁判になると労力がいりますし、結局は裁判所基準の慰謝料を支払わなければならなくなるかもしれないと考えるでしょう。よって、実際には裁判になっていなくても、被害者が事故後の交渉を弁護士に依頼すれば、多くの場合「裁判所基準」での慰謝料が支払われる可能性が高くなります。

したがって、裁判所基準の慰謝料を支払ってもらうためには、「弁護士に依頼する」ことが何よりも重要なのです。

裁判所基準の慰謝料はどのようにして決まる?

では、具体的に裁判所基準の慰謝料は、どのように決まるのでしょうか?
ここからは、慰謝料の種類ごとにご説明します。

死亡慰謝料の算定方法

交通事故によって、残念ながら亡くなられた方は、ご家庭での役割に応じて金額が異なります。

  • 一家の支柱であった方  2,800万円
  • 母親、配偶者であった方 2,500万円
  • その他の方       2,000万円~2,500万円

ただし金額はあくまで目安であり、具体的な事実や状況によって異なることがあります。「保険会社から提示されている金額が低いかもしれない」と感じた場合には、まず弁護士に相談されることをおすすめします。

後遺障害慰謝料の算定方法

後遺障害の慰謝料は、その方の後遺障害等級ごとに一定の金額が定められています。後遺障害慰謝料は、あくまで後遺障害が認定された場合にのみ、支払いの対象となります。そのため、後遺障害が認定されなかった場合には、後遺障害慰謝料は請求できない点に注意が必要です。

後遺障害等級 自賠責保険基準(※1) 裁判所基準(※2)
第1級 1150万円 2800万円
第2級 998万円 2370万円
第3級 861万円 1990万円
第4級 737万円 1670万円
第5級 618万円 1400万円
第6級 512万円 1180万円
第7級 419万円 1000万円
第8級 331万円 830万円
第9級 249万円 690万円
第10級 190万円 550万円
第11級 136万円 420万円
第12級 94万円 290万円
第13級 57万円 180万円
第14級 32万円 110万円

入通院慰謝料の算定方法

事故のケガによる入通院慰謝料は、通院期間に応じた「損害賠償額算定基準」で定められた金額となります。

下記の表をもとに算定することとされており、縦軸が通院期間、横軸が入院期間を示しています。

ご自身の通院期間もしくは入院期間がどの程度であったかご確認いただき、表に当てはめれば、裁判所基準の金額がわかります。

具体例:別表Ⅰの場合

  • 1ヵ月入院したのち、6ヵ月通院して完治した場合 149万円
  • 2ヵ月入院のみした場合             101万円
  • 6ヵ月通院のみした場合             116万円

ケガの慰謝料の算定には、原則として「別表Ⅰ」をもとに算定しますが、例外的に、むち打ち症(他覚的所見なし)や軽度の打撲・軽い挫創や挫傷の場合には、「別表Ⅱ」を用います。

ケガの程度により参照すべき表が異なるため、金額に大きな差が出ることになるので、注意が必要です。

具体例:むち打ち症(他覚的所見なし)の場合

  • 1ヵ月入院した後、6ヵ月通院して完治した場合 113万円
  • 2ヵ月入院のみした場合            66万円
  • 6ヵ月通院した場合              89万円

さらに入通院慰謝料の計算では、通院期間についても注意が必要です。慰謝料は通院期間が長ければ長いほど、金額も高額になります。別表Ⅰでは、前述のとおり「通院期間」をもとに計算します。

しかし通院が長期にわたる場合、症状・治療内容・通院頻度をふまえ、「実際に通院した日数の3.5倍程度を通院期間の目安」とされることがあります。そのため、慰謝料が減額されてしまう恐れがあります(別表Ⅱを適用する場合は3倍)。

具体例:180日の通院期間のうち、30回しか通院していない場合

別表Ⅰを適用すると、通院期間は180日(30日×6ヵ月間)となり、180日分の慰謝料が請求できます。
一方で、3.5倍で計算した通院日数は105日(30回×3.5)となり、105日分の慰謝料しか請求できなくなります。

しかしながら、単に通院が長期化しているというだけで、この3.5倍基準が必ず適用されるということではありません。3.5倍基準が適用されるのは、通院目的が治療より経過観察である場合などの限られたケースです。

近親者の慰謝料の算定方法

事故により重度の後遺障害が残った場合、近親者の固有の慰謝料が認められることがあります。

重度の後遺障害が残った場合とは、「死亡と同様レベルの精神的苦痛を受けた場合」をいいます。このような重度の障害がある場合は、近親者にも固有の慰謝料が認められるべきだとされているのです。ちなみに近親者とは、被害者の父母、配偶者および子どもを指します。

近親者に固有の慰謝料の支払いが認められたのは、次のようなケースです。

  1. 1両下肢麻痺等で後遺障害1級が認定された、39歳男性の場合
    父に250万円、事実上の母に250万円の慰謝料が認められました(仙台地判平23.9.9)
  2. 2左下肢短縮による歩行障害等で後遺障害7級が認定された、72歳女性の場合
    夫に100万円の慰謝料が認められました(横浜地判平6.6.6)
  3. 3鎖骨変形障害と右上腕疼痛および橈骨神経領域しびれ等で後遺障害併合11級が認定された、30歳男性の場合
    妻に100万円の慰謝料が認められました(横浜地判平25.1.31)

裁判例のなかで着目すべきは、内縁関係にあたる方にも、慰謝料が認められた点です(①の裁判例を参照)。

内縁とは、法律に定める婚姻の届出を行なっていないだけで、事実上夫婦の実体がある男女の関係をいいます。このように法律上は夫婦でない場合でも、近親者の慰謝料請求権が認められる可能性があるのです。

これらの裁判例は、あくまでも一例にすぎません。そのため、ご紹介した傷病以外の場合であっても、その内容次第では慰謝料が認められる可能性もあります。ただし、近親者であれば、それだけで固有の慰謝料が認められるということではありません。

近親者の固有の慰謝料が認められるかどうかは、難しい判断が求められます。そのため、ご自身が該当するかどうか知るためには、弁護士に相談してみましょう。

慰謝料には増額事由がある!?

これまでご説明してきた慰謝料ですが、さらに増加できる場合があります。

それは、慰謝料増額事由にあたる場合です。慰謝料増額事由に該当する場合は、10%~30%程度の増額が認められる可能性があります。

慰謝料増額事由

  • 交通事故が加害者の故意もしくは重過失に基づくもの
  • 相手に著しい不誠実な態度などがある場合
  • 被害者の親族が精神疾患に罹患した場合

故意または重過失とは、無免許運転、ひき逃げ、酒酔い運転、著しいスピード違反、ことさらな信号無視、などがあげられます。「事故のとき警察官がそのようなことを言っていたかも…」など思い当たる方は、弁護士に相談してみましょう。ご自身が想像していた以上の慰謝料が認められるかもしれません。

少しでも疑問を感じたら、法律事務所へ相談を

このように適切な慰謝料を受け取るためには、裁判所基準を適用することで、慰謝料を大幅に増額できます。

そして、この裁判所基準で算出した慰謝料を加害者側に支払ってもらうためには、弁護士に相談することが大事です。まずは、加害者側から提示された慰謝料が妥当なのかどうかを弁護士に相談してみることが、納得して示談するために必要なプロセスなのです。

慰謝料の金額に疑問を感じながらも、どうすればいいかわからない方は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

もっと詳しく知りたい方は
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弁護士 正木 裕美

愛知県弁護士会所属

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