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交通事故で被害者が死亡した場合の損害賠償は誰が請求する?

突然の交通事故で大切なご家族を亡くされた方に、心よりお悔やみを申し上げます。
ご遺族の方は、大切な方を失った悲しみや喪失感、加害者に対する怒りなどを抱えたまま、多くの手続などに対応していくことになります。

必要なこととはいえ、遺族の方がご自身で適切な対応をするのは難しいでしょう。
そのようなときは、交通事故に詳しい弁護士などのサポートを受けることをおすすめします。

この記事では、ご遺族の方が知っておくべき交通死亡事故の損害賠償の項目や、弁護士に依頼することでどのようなサポートが受けられるのかなどについて解説します。

この記事でわかること
  • 交通死亡事故の被害者の損害賠償を請求できる人
  • 請求できる損害賠償の項目
  • 弁護士に交通死亡事故を依頼して受けられるサポートの内容
目次

交通死亡事故のご遺族の皆さまが知っておくべきこと

交通死亡事故のご遺族が知っておくべきことは、主に下記の3つです。

  • 葬儀の準備・死亡届の提出などの各種手続
  • 遺産相続の手続
  • 加害者に対する損害賠償請求

葬儀の準備・死亡届の提出などの各種手続

交通死亡事故発生から葬儀までの流れと各種手続は、下記のとおりです。

(1)検視・ご遺体を引き取る

まずは死亡事故で亡くなった家族の検視と遺体の確認がおこなわれます。
遺体の確認後、医師から死亡診断書もしくは死体検案書を受け取ります。

(2)葬儀の準備・死亡届の提出

死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡届を役所に提出します。

(3)必要に応じて各種の手続を行う

  • 住民票抹消手続
  • 世帯主の変更届
  • 所得税の準確定申告・納税
  • 年金の受給停止手続(年金受給者のみ)
  • 介護保険資格喪失届の提出(介護保険対象者のみ)
  • 生命保険金の請求(保険加入者の場合)

など

遺産相続の手続

ご家族や親族が交通事故で亡くなったあとの遺産相続の流れと各種手続は、下記のとおりです。

【遺産相続の流れ】
(1)遺言の有無の確認
亡くなった被害者ご本人の遺言の有無を確認します。

(2)相続人の確定
遺言書がない場合には、「亡くなった被害者ご本人の財産を誰が相続するのか」を相談し、確定します。

(3)相続財産の確認
相続すべき財産を把握します。
なお、相続人は、被相続人のすべての財産、すなわちプラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぎます。

(4)遺産分割協議
遺言書がない場合や遺言があっても具体的な配分が指定されていない場合、および法定相続分と異なる配分を行いたい場合は、遺産の具体的な分け方について話合う必要があります。
これを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議は、相続人全員の間で行います。
遺産分割協議がまとまれば、「遺産分割協議書」を作成し、その内容に沿って遺産を分配します。
遺産分割協議がうまくまとまらない場合、調停や審判で分割の仕方を決定します。

(5)各種手続
遺産分割協議の完了後、預貯金・有価証券などの解約や名義変更、不動産の相続登記などを行います。

法定相続人について

法定相続人とは、法律によって遺産を相続する権利が認められた人々のことを指します。
法定相続人には交通死亡事故の被害者に代わり、損害賠償請求をする権利(損害賠償請求権)が認められています。

法定相続人の範囲と優先順位は、下記のとおりです。

被相続人の配偶者

第1順位:被相続人の子(養子も含む。子がいない場合は孫)
第2順位:被相続人の直系尊属(父母・祖父母など)
第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は甥・姪)

前順位の相続人がいれば、次順位の者は相続人になりません。

法定相続人の範囲と優先順位の図

加害者に対する損害賠償請求

相続人は、交通事故の加害者に対する損害賠償の請求権を相続するため、死亡した被害者ご本人の代わりに賠償請求の手続を行います。
交通事故の被害者が加害者に対して請求できる賠償金には、下記のようなものがあります。

損害の種類内容・具体例
葬儀関係費通夜、祭壇、火葬、埋葬、墓石などに要する費用
死亡による逸失利益被害者が亡くならなければ、将来得ることができたと考えられる収入額の賠償
死亡慰謝料被害者本人・遺族の受けた精神的な苦痛に対する賠償

なお、損害賠償請求権には時効があります。

時効にかかってしまった場合、損害賠償請求をしても加害者側から時効成立を主張され、請求ができなくなってしまうため、注意が必要です。

賠償金の分け方について

死亡事故の損害賠償金は相続人間で分配をします。
このとき、一般的には「法定相続分」に従って分け合います。

法定相続分は相続人の組み合わせによってさまざまなパターンが想定され、割合も異なってきます。

法定相続分と相続人の組み合わせの図

交通死亡事故の損害賠償請求と過失割合の影響

交通事故における過失とは、交通事故の原因となった不注意のことで、過失の割合を数値化したものは「過失割合」と呼びます。

そして、過失相殺とは、「被害者側に過失がある場合には、その割合に応じて損害額を減額する」という仕組みです。

たとえば、被害者の損害額が4,000万円(歩行者、事故により死亡)で過失割合が20%、加害者の損害額が100万円(乗用車を運転、ケガなし)で過失割合が80%場合の賠償金額は下記のとおりです。

請求可能額3,200万円に対して加害者に20万円を支払うので実質的な受取金額は3,180万円

この制度の趣旨は、交通事故により発生した損害を、加害者と被害者の方との間で公平に負担させることを狙いとしています。
もちろん、加害者側の完全に一方的な過失によって事故が起きたという場合については、過失相殺はされません。

過失割合の交通死亡事故特有の問題点

死亡事故の場合、この過失割合について大きな問題が生じる可能性があります。
被害者の方が亡くなっているため、加害者の一方的な言い分に基づいて判断されてしまう場合があるからです。

そのようなことを防止するためには、警察が事故状況などを捜査した記録(刑事記録)を取り寄せて、事故が発生した客観的な状況を精密に分析し、加害者の言い分が信用できるのか、矛盾点はないのか、などについて慎重に精査することが必要です。

弁護士だからできるサポート

「心身ともに疲弊しどうすればいいかわからない…」、「これが適切な賠償金額なのか不安だ…」、「専門家の意見を聞いてみたい…」。
そんな思いを抱えていらっしゃる方は、まずは交通事故の被害に詳しい弁護士にご相談ください。

弁護士ならば以下のようなサポートが可能です。

精神的な負担を軽減できます

弁護士が代理人になるため、煩雑な手続を任せることができます。
また、加害者や保険会社と直接やり取りをせずに済むため、示談交渉などによるストレスからも解放されます。

適切な賠償金額を算定し、加害者側に請求します

残念ながら、保険会社が、本来ご遺族が受け取るべき金額を支払ってくれるとは限りません。

保険会社から提示される死亡慰謝料などの賠償金額は、自賠責基準または任意保険基準(各保険会社が定めている自社の支払基準)に基づいて算出しているため、裁判をしたならば認められる弁護士基準(裁判所基準)と比較して低額である場合がほとんどです。

弁護士であれば、弁護士基準に基づいた死亡慰謝料などの適切な賠償金額を算定し直し、加害者に請求していきます。
場合によっては、大幅な賠償金の増額を見込めるケースもあります。

例)被害者(夫)に配偶者と未成年の子ども1名がいる場合の死亡慰謝料
自賠責保険基準:1,250万円
弁護士基準:2,800万円

死亡慰謝料のイメージ図  自賠責保険の基準<任意保険の基準<弁護士の基準

証拠書類を収集し、過失割合を調査します

過失割合の問題について、死亡事故の場合には、被害者の方がすでに亡くなっているため、加害者の一方的な言い分に基づいて判断され、被害者の方にも過失があると認められてしまう可能性があります。

弁護士ならば、警察から事故に関する証拠や目撃証言などの資料を収集し、正しい過失割合を判断することが可能です。

納得できない場合は、裁判で徹底的に戦うことが可能です

早期解決と適正な死亡慰謝料などの賠償金の支払いを求め、弁護士はまず保険会社と示談交渉を行います。
ただし、保険会社が譲歩をしない姿勢を見せ、ご遺族が納得されない場合は訴訟を起こすことになります。

弁護士が、訴訟を起こした場合に受け取れる可能性の高い死亡慰謝料などの賠償金額の見通しなどについてお伝えし、ご遺族と相談しながら丁寧に方針を決めることができます。

交通死亡事故についてよくある質問

交通事故の被害者が亡くなった場合でも過失割合がつくのでしょうか?

民法では、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」(第722条)と定められており、交通死亡事故で亡くなられた被害者の方にも過失割合がつく場合があります。

もっとも、死亡事故の場合では、被害者の方に交通事故が発生した状況を聴取することはできません。
そのため、警察が作成した刑事記録や、起訴された場合には、刑事事件の裁判記録など、多くの資料を精査して、適切に過失割合を検討していく必要がありますが、それには専門知識や経験が必要です。
交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおすすめいたします。

刑事裁判の際、遺族はどのように対応すればいいでしょうか?

刑事裁判は、検察官が裁判所に対して、交通事故の加害者(被告人)の処罰を求めて訴訟を提起(公訴)するものであり、ご遺族は刑事裁判の当事者にはなりません。

ただし、裁判の前に警察や検察がご遺族の感情を聴取するケースが多く、ご遺族の感情が加害者の刑の軽重に影響を与えることもあります。
その際には交通事故や加害者に対する想いをしっかり伝えましょう。

また、お気持ちや意見を話すことができる意見陳述制度、被害者参加人として検察官の隣の席に座り加害者に質問できる被害者参加制度、といった制度を利用すれば、ご遺族が裁判に参加することも可能です。

できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください

交通事故にあったことによる被害は、決してお金に換算できるものではありません。
大切にされていた車、ケガをしてしまったお身体、痛みや治療に耐えた時間、そして、奪われた命…。

どれを取っても、事故にあわれる前の状態へ、元どおりにすることはできません。
誠に残念ですが、損害をお金によって評価して賠償してもらうよりほかに方法がないのです。

法律にも、損害賠償は金銭による賠償が原則である、と定められています(民法第722条1項、第417条)。
だからこそ、法律の専門家である弁護士は、ご遺族が適切な賠償金を受け取れるよう最善を尽くします。

被害者の方のご遺族が抱える苦しみや悲しみは、分かち合える人にしか推し量ることはできないかもしれません。

しかし、弁護士に依頼することで早期解決に繋がる可能性があります。
ご家族が交通事故にあわれた際には、できるだけ早い段階で交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故被害の賠償金請求はアディーレにご相談ください

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
弁護士費用特約が付いていない方は、アディーレ独自の「損はさせない保証」により、保険会社提示額からの増加額より弁護士費用が高い場合は不足分の弁護士費用はいただかないことをお約束します。(※)

また、アディーレへのお支払いは獲得した賠償金からお支払いいただく「成功報酬制」です。(※)
お手元からのお支払いはないため、弁護士費用特約が付いていない方でも安心してご依頼いただけます。

  • 委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いいただきます。

弁護士費用特約を利用する方の場合は、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはり相談者の方・依頼者の方に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。

また、通常、弁護士費用がこの上限額を超えた部分は自己負担となりますが、アディーレにご依頼いただく場合は、保険会社の上限を超えた分の弁護士費用は請求いたしません。
お手元からのお支払いはないため、安心してご依頼いただけます。

  • 弁護士費用特約の利用を希望する場合は、必ず事前に加入の保険会社にその旨ご連絡ください(弁護士費用特約には利用条件があります)。

交通事故被害でお困りの方はぜひアディーレ法律事務所にご相談ください。

この記事の監修者
村松 優子

アディーレ法律事務所

弁護士 村松 優子(むらまつ ゆうこ)
資格:弁護士
所属:愛知県弁護士会
出身大学:愛知大学法学部

私は,司法試験を目指した当初から,親しみやすい法律家になりたいと考えていました。それは,私自身が弁護士に対して,なんとなく敷居が高そうというイメージを抱いていたからです。私は,司法試験に合格した後,学生時代の友人から,合格しても何にも変わらないね,安心したと言われました。弁護士になった後も,昔と変わらないねと言われ続けたいです。私は,ただすこし法律を勉強しただけで,そのほかは普通の人と何ら変わりはありません。なので,どんなことでも気軽に相談してください。