ドラレコなしのバイク事故…「スピード違反」の主張に対抗する証拠の集め方
交差点を直進中、急に右折してきた車との事故。こちらにドライブレコーダーがなく、相手から「バイクが猛スピードだった」と事実と異なる主張をされてお困りではないでしょうか。
保険会社から「バイク30:車70」といった納得のいかない過失割合を提示され、その結果として賠償金が減額されたら、納得できないですよね。
本記事では、適正な過失割合と賠償金額による解決を目指すための具体的な方法について弁護士が解説します。
- この記事でわかること
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- 右直事故における基本の過失割合と、相手と主張が食い違う理由
- ドラレコがなくても客観的な証拠を集める方法
- 過失割合が賠償金に与える影響と、適正な解決のためにすべきこと
- 目次
バイクと車の右直事故、基本の過失割合と保険会社の主張
直進するバイクと右折する車の衝突という事故類型の場合、原則とされる過失割合はありますが、相手方保険会社が、原則とは異なる過失割合を主張してくることがあります。
基本的な過失割合の基準は「15:85」
信号機のない交差点において、直進するバイクと右折する車が衝突する「右直事故」が起きた場合、基本となる過失割合は「バイク15:車85」とされています。これは、過去の膨大な裁判例をまとめた実務上の基準に基づいています。
日本の道路交通法では、交差点においては直進車が優先されるルール(直進優先)があるため、右折車には直進車の進行を妨げないよう、より重い注意義務が課せられます。
バイクは四輪車に比べて車体が小さく、ドライバーからは距離が遠く、速度も遅く見えるという「錯視」が起こりやすい特性があります。
しかし、バイクは四輪車に比べて転倒しやすく、事故発生時に大ケガを負いやすい特性があります。
そのため、四輪車のドライバーにはより高い注意義務(事故を回避する責任)が求められており、結果として車側の過失が大きく算定されるのが原則です。
バイクに乗っていたあなたが法定速度を守り、前方を注視して直進していたのであれば、まずはこの「15:85」が出発点となります。
なぜ保険会社は「30:70」を主張してくるのか
本来であれば「15:85」のはずが、なぜ相手の保険会社は「バイク30:車70」という不利な数字を突きつけてくるのでしょうか。
それは、相手のドライバーが保身のために「バイクが猛スピードで突っ込んできた」といった証言をしており、保険会社がその証言をベースに「修正要素」を適用しているからかもしれません。
交通事故の過失割合は、基本割合に対して事故当時の具体的な状況(修正要素)を加算・減算して最終決定されます。
もしバイク側に「時速15km以上30km未満の速度超過」があったと認定されてしまうと、バイク側の過失割合が10%程度不利に加算されてしまいます(※時速30km以上の超過は20%程度の加算となります)。
今回のようにバイク側にドライブレコーダーがない場合、相手方は自分に有利になる証言をすることがあります。
そして保険会社も、自社の支払い額(賠償金)を減らすために、都合の良い相手方の証言をとりあえず採用して交渉を進めようとしている可能性があるのです。
相手の「ウインカーなし(合図なし)」が認められればどうなるか
一方で、あなたから見て相手の車は「ウインカーを出さずに急に右折してきた」という場合はどうでしょうか。
道路交通法では、右折などの進路変更を行う際、交差点の30メートル手前から合図(ウインカー)を出すことが義務付けられています。
もし、相手の車がウインカーをまったく出していなかった、あるいは直前になってから出した(合図遅れ)という事実を客観的に証明できれば、今度は車側の過失がさらに重くなります。
具体的には、右折車の「合図なし」が認められた場合、車側に10%程度の過失が加算される修正要素となります。
つまり、相手の「バイクが猛スピードだった」という主張を客観的な証拠で覆し、さらに相手の「ウインカー不履行(合図なし)」を立証できれば、過失割合を「5:95」など、こちらに有利な割合へ修正できる可能性が高まります。
だからこそ、相手方の保険会社の主張に丸め込まれず、客観的な証拠を集めることがとても重要なのです。
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ドラレコがない場合において、こちらがスピード違反をしていたという主張を覆す方法はあるのでしょうか。
考え得る方法を3つご紹介します。
(1)刑事記録(実況見分調書)の精査
人身事故が発生した場合、警察は現場で必ず「実況見分」を行い、その結果をまとめた「実況見分調書」を作成します。
この調書には、衝突地点や車両の停止位置、そして路面に残された「ブレーキ痕(スキッドマーク)」の長さなどが記録されており、非常に強力な客観的証拠となり得ます。
ブレーキ痕の長さからは、事故直前の走行速度をある程度逆算することが可能です。あなたが法定速度を守って直進していたのであれば、この記録を精査することで、相手の「猛スピードで突っ込んできた」という主張の矛盾を突ける可能性が高まります。
(2)周辺の防犯カメラ映像・目撃証言の確保
事故現場が幹線道路であれば、周辺に事故の瞬間を捉えた映像が残っている可能性があります。沿道のコンビニエンスストアやガソリンスタンド、近隣マンションの防犯カメラ、あるいは通りかかった路線バスのドライブレコーダーなどが有力な証拠となり得ます。
ここで注意すべきは、防犯カメラの映像データは時間が経つと上書き消去されてしまうことが多い点です。
そのため、一刻も早い証拠保全が求められます。
(3)車両の損傷状況からの「工学鑑定」
映像や目撃証言が見つからない場合でも、「車両の壊れ方」そのものが真実を証明する証拠になり得ます。
「工学鑑定」という手法によって、事故によるバイクと乗用車の損傷具合、部品の破損状態、路面への破片の飛散状況などを専門的に分析できることがあるからです。
仮に相手が、あなたの大幅な速度超過を主張していたとしても、たとえば実際の車両の変形や凹みがそこまで激しくなければ、「そのような高速での衝突はあり得ない」と反証できる場合があります。
過失割合が不当なまま示談すると発生する金銭的な損害
事実とは異なる相手の主張や保険会社の強気な態度に疲れ果て、「もう交渉が面倒だから早く終わらせたい」。
そう思ったとしても、不本意な過失割合のまま示談書にサインしてしまうのは待ってください。
交通事故における過失割合は、単なる「どちらがより悪いか」という道義的な問題にとどまりません。最終的にあなたが受け取れる賠償金(示談金)の金額を直接的に左右する、とても重要な要素なのです。
休業損害や慰謝料が大幅に減額される(過失相殺)
交通事故の賠償実務には、ご自身の過失割合の分だけ、全体の損害額から金額が差し引かれる「過失相殺(かしつそうさい)」という仕組みがあります。
今回の事故による治療費、休業損害、慰謝料などの損害総額が300万円だったと仮定します。
もし適切な過失割合が「15%」であり、そのとおりの過失割合で解決できれば、差し引かれるのは45万円です。
しかし、相手の間違った主張が通ってしまい、あなたに「30%」の過失が認定されてしまうと、賠償金は90万円も減額される計算になります。
たとえば、鎖骨骨折や手首の捻挫によって営業車の運転や荷物の運搬ができず、仕事に深刻な支障が出ている場合、「休業損害」の補償は今後の生活を支える命綱となります。
さらに、交通事故によって生じた精神的苦痛に対する「慰謝料」までもが、適切な過失割合で算定しなければ、不当に減額されてしまいます。
そのため、適切な過失割合によって算定した賠償金を受け取ることは、非常に重要だといえるでしょう。
「自分は交通ルールを守っていたのに、相手の間違った主張のせいで賠償金まで減らされる」という理不尽な金銭的損害を防ぐためにも、納得のいかない過失割合のまま安易に示談することは避けるべきです。
相手の主張に納得できないなら弁護士に依頼してみる
相手による不当な過失割合の主張や保険会社の対応に納得がいかない場合は、弁護士への依頼が有効な場合が多いです。
最大のメリットは、通常もっとも高額になる「弁護士基準(裁判所基準)」で算出した慰謝料を請求するため、「適正金額の賠償金を獲得できる可能性が高まる」ことです。
また、ストレスとなる保険会社との交渉は基本的にすべて弁護士が代行するため、仕事や治療に専念できます。
泣き寝入りしないためにも、まずは弁護士にご相談ください。
【まとめ】
ドライブレコーダーがないからといって、相手の間違った主張に基づく過失割合を受けいれる必要はありません。
相手方保険会社の主張どおり「30:70」で示談してしまうと、今後の生活や仕事の補償(休業損害など)に不利益が生じる可能性があります。
そして、事故から時間が経てば経つほど防犯カメラなどの客観的な証拠が消滅する可能性が高まってしまいます。
相手方の主張に納得がいかない場合は、一人で抱え込まず、まずはアディーレ法律事務所にご相談ください。







