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脊椎骨折の後遺症とは?後遺障害等級と賠償金の相場について弁護士が解説!

この記事でわかること
  • 脊椎骨折で認められる後遺障害
  • 脊椎骨折により請求できる賠償金の相場
  • 賠償金の交渉を弁護士に依頼するメリット

交通事故により、首から腰にかけた背骨(脊柱)を骨折してしまうことを「脊椎骨折」といいます。脊椎骨折が生じた場合、自賠責保険では脊椎の後遺障害が残存していると認定されることがあり、適切な認定を受けると、数十万~数千万単位の保険金を受け取ることができるのです。

また、支払われた保険金以上の損害が見込まれる場合は、加害者の任意保険会社などに対して、後遺障害が残存したことによる慰謝料や将来の減収見込み(逸失利益=後遺障害がなければ、得られたはずの収入のこと)の差分を請求することができるので、なるべく正しい知識をもって、納得のいく賠償金を受け取りたいものです。

そこで本コラムでは、交通事故で脊椎を骨折した場合に、認定される後遺障害等級と、受け取れる賠償金の相場について説明します。

目次

脊椎とは?

脊椎とは、上下に連なる背骨(脊柱)のことをいい、7個の頸椎(C1~C7)、12個の胸椎(Th1~Th12)、5個の腰椎(L1~L5)、仙骨(S1~S5)、尾骨で構成されます。

交通事故の後遺障害の等級認定では、頸椎、胸椎、および腰椎、つまり首から腰までの部分を「脊椎」として扱っています。脊椎には、体幹を支え、脳から全身に向かう神経の束を通して保護する機能があるため、脊椎骨折による後遺症は、日常生活に支障をきたすほどの、重大な障害に発展する可能性もあるのです。
なお、仙骨は骨盤の一部として変形障害で扱い、尾骨は一般的な神経症状だけが問題となります。

脊椎は、「椎骨」と呼ばれる骨が連結したものです。このうち、荷重を支える円柱状の部分(左図の下半分)を「椎体」といいます。なお、胸椎と腰椎の違いは、“胸椎には肋骨とつながる関節がある”という点です。

【関連コラム】
【首骨折の後遺症】後遺障害の認定基準と賠償金額算定について弁護士が解説

脊椎骨折の後遺症が残った場合、受け取れる賠償金額は?

脊椎骨折は、椎体部分に強い圧力がかかることによって変形などが生じる「椎体骨折」と、椎骨の両側に伸びる突起部分に骨折やヒビが見られる「突起骨折」の場合が多いといえます。また、脊椎骨折といわれるものの、具体的には胸椎や腰椎(胸腰椎)に骨折が発生するケースがほとんどです。

ここからは、脊椎骨折のケースごとに、どのような後遺症が残り、どのような後遺障害等級が認定されるかを詳しく見ていきましょう。

椎体骨折の後遺障害について

椎体骨折で認められる後遺障害には、「脊柱変形の後遺障害」と、「脊柱運動障害」の2種類があります。また、交通事故での椎体骨折は「圧迫骨折」ともいいますが(※)、これは、事故の衝撃で椎体に強い力が加わることで、椎体にヒビが入ったり、前面や側面が圧壊したりした状態です。

圧迫骨折の経過は、下記の3通りが考えられます。

  1. 事故直後からかなり圧壊変形している場合
  2. 椎体に多数のヒビが入り、その後1~3ヵ月で徐々に荷重で変形してつぶれていく場合
  3. 椎体にヒビが入ったものの、治癒が可能な場合

なお、①②③のどれに該当するかは、事故の時の衝撃の強さによって決まります

  • 椎体骨折では、椎体の腹側(前柱)と背側(中央柱)の両方に骨折線が入った状態を、特に破裂骨折といいます。

脊柱変形の後遺障害

脊柱変形の後遺障害で認定される後遺障害等級や詳しい症状は下記のとおりです。椎体のイラストも参考にしながら、後遺障害等級について比較してみましょう。

6級5号:脊柱に著しい変形を残すもの
複数の椎体の圧迫骨折により前方椎体高の合計と後方椎体高の合計の差が椎体1個分以上ある場合 圧迫骨折により生じた後弯が椎体半個分以上あり、かつ、コブ法による側弯度が50度以上ある場合

8級相当:脊柱に中程度の変形を残すもの
複数の椎体が圧迫骨折を残して後弯(=前屈)を生じた場合 圧迫骨折により生じたコブ法による側弯度が50度以上ある場合 環椎または軸椎の変形固定により可動域範囲が変化した場合(詳細は省略)

11級7号:脊柱に変形を残すもの
1個の椎体が圧迫骨折を残した場合 脊柱固定術をした場合3つ以上の椎弓形成術をした場合

圧迫骨折と診断されても、前述した「③椎体にヒビが入ったが、治癒する場合」で経過し、ヒビが入っただけで圧壊が生じずに骨折が癒合して(骨がくっついて)治った場合や、圧壊がごくわずかにとどまる場合には、後遺障害11級に認定されないことがあります。

脊柱運動障害

続いては、脊柱運動障害について、認定される後遺障害等級や詳しい症状をご紹介します。

6級5号:脊柱に著しい運動障害を残すもの 
頸椎と胸腰椎の両方に圧迫骨折による変形がある、頸椎と胸腰椎の両方に脊柱固定術が行われた、または項背腰部部軟部組織の器質的変化のために、頸部と胸部の両方が強直した場合

8級2号:脊柱に運動障害を残すもの
頸椎に圧迫骨折による変形がある頸椎に脊柱固定術が行われた項部軟部組織の器質的変化のいずれかのために、頸部の可動域が参考可動域の半分以下に制限された場合

なお、「関節の強直」とは、可動域が参考可動域の10%(5度単位で切り上げ)以下の場合に認められます。

突起骨折の後遺障害について

胸腰椎には、背中側にある「棘突起」と、両側に伸びる「横突起」の2種類の突起がありますが、棘突起よりも横突起のほうが長いため、横突起の骨折が比較的多いように思われます。

棘突起も横突起も、体幹や姿勢を直接支えているわけではないので、突起骨折をしたとしても、圧迫骨折のパートでご説明したような「脊柱変形」や「脊柱の運動障害」といった後遺障害は認定されません。これは、尾骨を骨折した場合も同様です。
しかし、胸腰椎の突起部分や尾骨を骨折した場合にも、局部の神経症状の後遺障害が認められることがあります。

たとえば、突起部分が骨折した場合に、変形癒合(骨折部がズレたまま、くっついてしまった状態)や偽関節(骨の癒合が止まった状態)を残し、痛みの原因となっていることが認められるケースがあります。その場合には、「局部の頑固な神経症状を残すもの」として12級13号が認定されます。変形なく癒合した場合にも痛みが続く場合は「局部の神経症状を残すもの」として、14級9号が認定される可能性はありますが、これはまれです。

それでは、局部の神経症状の後遺障害について、詳しい内容を確認してみましょう。

12級13号:局部の頑固な神経症状を残すもの
突起骨折により生じた痛みが症状固定時に残存していることが医学的に証明できる場合 (変形癒合または偽関節)

14級9号:局部の神経症状を残すもの
突起骨折により生じた痛みが症状固定時に残存していることが医学的に説明できる場合

脊椎骨折の後遺症に対する賠償金額を比較!

ここまでご説明してきたとおり、脊椎骨折、具体的には胸腰椎の骨折により後遺障害等級が認定された場合には、自賠責保険から賠償金が支払われます。さらに、弁護士を通じて交渉すれば、弁護士基準を用いて算定した慰謝料と逸失利益を請求することができるのです。

後遺障害等級に応じた自賠責保険基準の賠償金額は、下の表のように慰謝料部分と逸失利益部分に分けられていますが、いずれも弁護士基準で算定すると、大きく増額することがほとんどです。自賠責保険基準の場合と弁護士基準の場合とで、どれくらいの違いがあるのか実際に比較してみます。

後遺障害等級 基準 慰謝料 逸失利益の上限
第6級 自賠責保険 512万円 784万円まで(慰謝料と併せて1,296万円まで)
弁護士 1,180万円 年収の67%を67歳または平均余命の半分まで
第8級 自賠責保険 331万円 488万円まで(慰謝料と併せて819万円まで)
弁護士 830万円 年収の45%を67歳または平均余命の半分まで
第11級 自賠責保険 136万円 195万円まで(慰謝料と併せて331万円まで)
弁護士 420万円 年収の20%を67歳または平均余命の半分まで
第12級 自賠責保険 94万円 130万円まで(慰謝料と併せて224万円まで)
弁護士 290万円 年収の14%を10年~20年
第14級 自賠責保険 32万円 43万円まで(慰謝料と併せて75万円まで)
弁護士 110万円 年収の5%を5年~10年
  • 2020年4月1日以降に発生した事故の場合

ただし、本人の努力や職場の配慮もあって、圧迫骨折による脊柱変形後も収入が変わらず、交通事故によるケガの影響がないように見えることがあります。そのような場合、逸失利益が上記の表のとおりには算定されないことがあります。

まとめ

交通事故で脊椎、具体的には胸椎や腰椎を骨折してしまった場合には、重大な後遺症が残ることがあります。ここまで解説してきましたが、椎体骨折の場合、自賠責保険に後遺障害等級認定を申請することで、「脊柱変形」や「脊柱運動障害」といった認定を受けることができます。また、突起骨折や尾骨骨折の場合も、「局部の神経症状」の後遺障害等級が認定されるケースが考えられるでしょう。

そして、後遺障害が認定された場合、被害者が受け取れる賠償金額は自賠責保険基準と弁護士基準で大きく異なり、通常、弁護士基準のほうが高額になります

交通事故にあわれて、脊椎を骨折された被害者の方は、適切な後遺障害等級の認定を受けるためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修者
小川 貴裕
弁護士 小川 貴裕(おがわ たかひろ)
資格:弁護士,高度情報処理技術者(ネットワークスペシャリスト,データベーススペシャリスト),応用情報技術者
所属:東京弁護士会
出身大学:東京大学法学部,法政大学法科大学院
「正当な賠償金額」と「裁判で認められるだろう妥当な賠償金額」を見積もり、その金額に限りなく近い結果を得て解決できるよう、毎日頭を悩ませる日々です。
交通事故の担当弁護士を務めて10年以上経ちますが、当事務所の交通事故事件は、多数のご依頼と経験から見積もりの精度が高く、見落としは少なく、想定外からのリカバリに優れていると思います。
難事件を解決に導くには、人智と人事を尽くしたうえに幸運が必要です。そのため、私は毎日、電車でご年配の方に座席を譲り、廊下に落ちたゴミを拾って、徳を貯めています。
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