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併合、相当、加重って何?知っておきたい後遺障害等級認定のルール

交通事故にあったとき、複数の部位を負傷する方も多いでしょう。そのような場合、ケガの治療が終わったものの2つ以上の後遺症が残ってしまうことも少なくありません。

このような複数の後遺障害の等級認定に際し、「併合」という認定ルールがあります。
後遺障害等級が併合された場合、後遺障害慰謝料や逸失利益が増額する可能性がありますので、その可否は重要といえます。

また、「相当」や「加重」といった言葉について、後遺障害診断書に記載されているのを見たことがあるかもしれません。

今回の記事では、後遺障害等級認定に深いかかわりのある「併合」・「相当」・「加重」の概要や、認定結果とのかかわりについて説明いたします。

この記事でわかること
  • 後遺障害等級の「併合」の意味
  • 後遺障害等級における「相当」の意味
  • 後遺障害が「加重」と評価された場合の保険金支払いのルール
  • 後遺障害慰謝料の相場
目次

後遺障害等級認定のルール「併合」・「相当」・「加重」とは

「併合」・「相当」・「加重」とはどのようなルールなのか、どのように適用されるのかについて解説いたします。

併合とは

併合とは、異なる部位の障害が複数残った場合の、後遺障害の認定方法です。具体的には、複数ある後遺障害のうち、もっとも重い等級が繰り上がります。

併合の基本的なルールは次のとおりです。

  • 5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合には、もっとも重い後遺障害等級を3つ繰り上げる
  • 8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合には、もっとも重い後遺障害等級を2つ繰り上げる
  • 13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合には、もっとも重い後遺障害等級を1つ繰り上げる
  • 14級の後遺障害が2つ以上ある場合には、14級のまま

ただし、すべてのケースで併合というルールが適用されるわけではありませんので、注意が必要です。
「後遺障害認定の結果が届いたけれど、内容がよくわからない」という方は、弁護士に相談することをおすすめします。

相当とは

相当とは、後遺障害等級表に定められていない障害についての、後遺障害の認定方法です。

後遺障害等級表に定められていない後遺障害について、その障害の程度に応じた後遺障害等級が認定されます。
例としては、嗅覚や味覚の喪失や減退が挙げられます。

また、異なる部位ではあるものの、同じグループ(系列)に属する障害を併合した場合も同様です。
たとえば、右膝の関節機能障害(12級)と右足の関節機能障害(11級)を併合し、11級を1つ繰り上げて10級相当とする場合です。

主な具体例としては、以下の後遺障害が挙げられます。

  • 嗅覚脱失や味覚脱失(12級相当)
  • 嗅覚減退(14級相当)
  • 外傷性散瞳(11級相当、12級相当、14級相当)
  • 上肢における動揺関節(10級相当、12級相当)
  • 下肢における動揺関節(8級相当、10級相当、12級相当)

加重とは

加重とは、既に障害のあった同一部位について、交通事故により障害の程度が重くなった場合の、後遺障害の認定方法です。

この場合、「交通事故で発生した障害の等級」と「交通事故前からある障害の等級」それぞれの後遺障害等級が認定されます。

両等級において加重と認定された場合には、「交通事故で発生した障害の等級に対応する保険金額」から「既にある障害の等級に対応する保険金額」を控除した保険金額が支払われます。
「交通事故にあう前からある障害」が交通事故を原因とするか、生まれつきのものであるか、といったことは問われません。

たとえば、昔の交通事故で14級の後遺障害が認定されており、今回の事故で同一部位について12級の後遺障害が認定された場合、自賠責保険からは12級の保険金額から14級の保険金額を控除した金額が支払われます。

後遺障害等級が認定された場合の慰謝料について

慰謝料には3つの基準がある

後遺症慰謝料の算定においては、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準が存在します。

自賠責基準は、自賠責保険の支払の基準です。自賠責保険は被害者救済のため最低限の補償をするものですので、通常、3つの基準のなかではもっとも低額となります。

任意保険基準は、各任意保険会社独自の基準です。任意保険基準は公表されていません。

弁護士基準は、過去の裁判例をもとに設定されている基準で、通常、3つの基準のなかではもっとも高額となります。

後遺症慰謝料について、自賠責保険基準と弁護士基準を比較すると、次のようになります。

介護を要する後遺障害

後遺障害等級自賠責保険基準弁護士基準
第1級1,650万円(1,600万円)2,800万円
第2級1,203万円(1,163万円)2,370万円
  • ()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合

介護を要さない後遺障害

後遺障害等級 自賠責保険基準弁護士基準
第1級1,150万円 (1,100万円)2800万円
第2級998万円(958万円)2370万円
第3級 861万円(829万円)1990万円
第4級737万円(712万円)1670万円
第5級618万円(599万円)1400万円
第6級512万円 (498万円) 1180万円
第7級419万円 (409万円)1000万円
第8級331万円 (324万円)830万円
第9級249万円 (245万円)690万円
第10級 190万円 (187万円)550万円
第11級136万円 (135万円)420万円
第12級94万円 (93万円)290万円
第13級57万円 180万円
第14級32万円110万円
  • ()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合

後遺症慰謝料以外に請求できるもの

交通事故の被害者は、後遺症慰謝料以外にも次のような損害について、加害者に請求することができます。

  • 治療費
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
  • 逸失利益   など

交通事故の損害賠償請求において、加害者側へ請求し得る損害項目は多岐にわたります。相手方保険会社からの示談の提案内容について、少しでも疑問がある場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談した方がよいでしょう。

まとめ

後遺障害の認定には「併合」・「相当」・「加重」というルールがあり、これらのルールは、交通事故の被害者の方にはわかりにくいことも多いと思います。

後遺障害認定の結果が届いたけれど、「併合」・「相当」・「加重」等の記載があり、「内容がよくわからない」、「適切な後遺障害等級が認定されているのかわからない」という方は、ぜひ一度弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故に詳しい弁護士であれば、後遺症の内容・程度等に応じた適切な後遺障害等級が認定されているか否かを判断することができます

また、通常、もっとも高額となる弁護士基準で賠償金額を算定し、被害者の方が適切な賠償金を受け取ることができるよう尽力します。

交通事故の被害はアディーレにご相談ください

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
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  • 委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いいただきます。

交通事故被害でお困りの方は、ぜひお気軽にアディーレ法律事務所にお問合せください。

この記事の監修者
二里木 弓子

アディーレ法律事務所

弁護士 二里木 弓子(にりき ゆみこ)
資格:弁護士,司法書士(未登録)
所属:東京弁護士会
出身大学:静岡県立大学国際関係学部(中退)
私は、交通事故案件をメインに担当しており、ご依頼いただいた被害者の方々の事件解決に向けて日々奮闘しております。日々の業務に取り組むなかで、依頼者の方から感謝のお言葉をいただくことがあり、そのように喜んでいただけることは弁護士冥利につきます。依頼者の方が適正な賠償金を受け取ることができるよう、引き続き尽力してまいります。