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交通事故の治療に健康保険は使える!メリットや必要書類を解説します

[ 公開日:2022/08/17 ] [ 更新日:2024/03/18 ]
交通事故の治療に健康保険は使える
この記事でわかること
  • 交通事故の治療に健康保険が使える
  • 健康保険が使えないケース
  • 健康保険を使うために必要な書類

「交通事故の治療には健康保険を使うことはできない…」とお思いの方も多いのではないでしょうか。

しかし、実は使えないというイメージがあるだけで、実際には一部の例外を除き、交通事故の治療でも健康保険を使うことができるのです。

健康保険を使うと、被害者の費用負担を軽減させることができます。特に、加害者が任意保険に加入していない場合などは、積極的に健康保険を使ったほうがよいでしょう。

今回の記事では、健康保険を使えるケースと使えないケースの違いや、健康保険を使ったときの具体的なメリットについてご説明します。

目次

交通事故の治療に健康保険は使える

交通事故でケガをした場合、「健康保険は使えるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。結論から言えば、原則として交通事故によるケガの場合も健康保険を利用することができます。

まずは、健康保険とはどのような制度なのか、どのような場合に健康保険を使えるのかをご説明します。

健康保険とは

健康保険とは、業務外で病気やケガをしたときに備える公的な医療保険制度のことです。

日本では、すべての住民を対象とした公的な医療保険制度が整備されており、ケガや病気によって医療機関を受診したときの医療費の一部が保険金で支払われます。

保険対応の医療機関で治療を受けた際に健康保険を使えば、基本的には医療費の7割は保険金で支払われ、残りの3割を個人が支払います。ただし、低所得者や高齢者の方は、ご本人の負担が2割や1割となることもあります。

なお、医療保険には、サラリーマンの方が加入する健康保険、公務員の方が加入する共済組合、そのほかの方が加入する国民健康保険などがあります。

第三者行為災害の場合、健康保険は使用できる

交通事故のように、保険金支払いの原因が第三者の行為などによって生じた事故を「第三者行為災害」といいます。

この場合、健康保険が使えないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、第三者行為災害であっても健康保険を利用することができます

なぜ健康保険は使えないと勘違いされているのか

それでは、なぜ健康保険が利用できないと勘違いされることが多いのでしょうか。

それにはいくつかの理由がありますが、病院から拒否されてしまうことがあるのが理由の一つのようです。

病院側の事情としては、手続が面倒であるとか、診療報酬が減ってしまうことから、健康保険の利用を拒否することがあるのです。また、手続に慣れていない病院もあるため、そもそも制度自体を知らないこともあるようです。

したがって、病院から健康保険を利用できないと言われたとしても、本当に利用できないのか、よく確認されたほうがよいでしょう。

厚生労働省から通知が出ている

このようにさまざまな理由により、病院から健康保険を利用することはできないと言われることがあります。

しかし、厚生労働省が「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて(昭和43年10月12日付け保険発第106号)」という通知において、交通事故においても健康保険の利用ができることを認めています。

そのため、病院から健康保険を利用できないと言われたときは、厚生労働省が利用を認めていると伝えることも健康保険を使うための有効な手段です。

それでも病院が譲らずに困ったときは、交通事故の取扱い実績がある弁護士などに相談してみるとよいでしょう。

交通事故の治療に健康保険が使えないケース

これまで、交通事故によるケガでも健康保険を使うことができると説明してきましたが、一部、健康保険が使えない場合があります。
ここからは、どのような場合に健康保険が使えないのかご説明します。

仕事中の交通事故の場合

まず、仕事中の交通事故でケガをした場合、労災保険によって補償されるため、健康保険が使えません。

仕事中とは、通勤中も含まれます。ただし、通勤ルートから明らかに外れるような立ち寄りは、通勤中には該当しないこともあるので注意が必要です。

被害者の故意・法令違反による交通事故の場合

故意または重大な過失による交通事故の場合は、社会保険の公共性の見地から健康保険の利用が制限されることがあります。

たとえば、飲酒運転による交通事故の場合は、故意または重大な過失によるものとして、健康保険を利用できません。

健康保険適用外の医療行為を受ける場合

健康保険には、保険適用対象となる治療と保険適用外の治療があります。

たとえば、先進医療は健康保険適用外となる可能性があります。また、治療ではありませんが、差額ベッド代も健康保険の適用外ですので注意しましょう。

健康保険を使うメリット

それでは、交通事故でも健康保険を使うことができるとして、どのようなメリットがあるのでしょうか。健康保険を使ったときのメリットをご説明します。

治療費の自己負担額が軽減される

治療費は、加害者の保険会社が負担してくれることが多いですが、相手が無保険であった場合や、加害者の保険会社が治療の継続を拒否することがあります。

この場合、被害者が一度治療費用を立て替える必要がありますが、健康保険を利用すれば、自己負担は3割となるため、立て替え費用を抑えることができます。

また、治療費自体を減額できる可能性があります。治療費は、診療報酬の点数に応じて金額が決まります。健康保険は1点あたり10円となりますが、自由診療の場合は、医療機関の裁量によって決めることができます。

たとえば、初診の診察で診療報酬の点数が100点と仮定すると、自由診療で病院が1点あたり20円と決めた場合「2,000円」ですが、健康保険を利用した場合は「1,000円」となります。このように自己負担額が軽減されるのです。

自賠責保険からの賠償金受領額を最大化することができる

加害者が任意保険に加入していない場合は、自賠責保険から賠償金を請求して、自賠責保険では足りない部分を加害者本人に請求することになります。

しかし、加害者本人の資力がないときは、現実に金銭を回収することは困難です。
そのため、できる限り自賠責保険から賠償金を受領したいところですが、自賠責保険の支払限度額は120万円(傷害)と決められています。

ここで、健康保険を利用することにより、自賠責保険からより多くの賠償金を受け取ることができる可能性があります。

たとえば、自由診療の診療報酬1点につき20円と仮定した場合、次のようになります。

  • 自由診療
    療費100万円(診療報酬の合計点数50,000点×20円)の場合、慰謝料等は、自賠責の支払限度額120万円との差額にあたる20万円しか支払われません。20万円を超える部分はすべて加害者本人に請求しなければなりません。
  • 健康保険
    治療費は50万円(診療報酬の合計点数50,000点×10円)となり、慰謝料等として、自賠責の支払限度額120万円との差額にあたる70万円が支払われる可能性があります。

高額療養費制度が使える

健康保険を利用すれば、高額療養費制度の適用を受けることができます。

高額療養費制度とは、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超えた分が、あとで払い戻される制度です。

ただし、高額療養費制度を利用する場合には、健康保険高額療養費支給申請書を提出する必要があるため、注意しましょう。

健康保険高額療養費支給申請書は全国健康保険協会のページからダウンロードできます。

高額な医療費を支払ったとき(全国健康保険協会)

健康保険を使う際に必要になる書類

健康保険を利用するためには、「第三者行為による傷病届」を提出する手続が必要となります。
また、そのほかにも必要な書類がありますので、主なものをご紹介します。

第三者行為による傷病届とは

交通事故のように第三者の加害行為によってケガをした場合、まずは「第三者行為による傷病届」が必要になります。

この書類は、健康保険協会などが後日、加害者に費用を請求するときに使う書類です。健康保険協会のホームページに雛形がアップされていますので、そちらを利用しましょう。

そのほかに必要な書類は

交通事故において健康保険を利用するためには、第三者行為による傷病届のほかにも必要になる書類があります。以下で主なものをご紹介します。

負傷原因報告書

負傷原因報告書は、何をしているときに負傷したのか報告する書類です。
健康保険は、業務上の事故で負傷した場合には適用できないことから、今回の負傷が業務上の負傷ではないか確認するものです。

事故発生状況報告書

事故の状況を言葉と図面で報告する書類です。
過失割合を判断するために用いられるものですから、正確に記載しましょう。

損害賠償金納付確約書・念書

交通事故の相手方に書いてもらう書類です。
ただし、相手方に記載を拒否されてしまった場合には、理由を記載することで相手の署名に代えることができる場合があります。

同意書

個人情報の利用に関する同意書です。
健康保険が相手方に求償する際に個人情報を用いることがありますので、そのための同意書となります。

交通事故証明書

交通事故証明書とは、自動車安全運転センターが発行する交通事故の存在を証明する書類です。
交通事故証明書を発行するためには、事前に警察署への交通事故の届け出が必要となります。

健康保険を使う際の注意点

健康保険を使うときは、まず医療機関への申し出が必要です。

特に申し出をすることなく治療を受けてしまうと、自由診療として扱われてしまうため注意する必要があります。医療機関に対して健康保険証を提示して、明確に健康保険を利用することを伝えましょう。

また、交通事故のような第三者の行為によってケガをした場合は、すでにご説明したとおり第三者行為による傷病届をはじめとした各種書類の提出が必要になります。

もっとも、これらの書類は、治療を受けるまでに事前に提出しておく必要はありません。

書類を提出していないからといって、健康保険の利用をためらう必要はありませんから、ぜひとも積極的に健康保険の利用を検討しましょう。

まとめ

交通事故によるケガでは健康保険を使うことはできないと思われるかもしれませんが、今回ご説明したとおり、交通事故であっても健康保険を利用することができます。

健康保険を利用することで、費用負担と賠償金の点で被害者へ有利に作用しますから、積極的に健康保険を利用すべきです。

ただ、医療機関から「健康保険は使えない」と言われることもあり、不安を感じられている方も多いのではないでしょうか。

少しでも不安な方は、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

この記事の監修者
武政 和浩
弁護士 武政 和浩(たけまさ かずひろ)
資格:弁護士、公認会計士(有資格)
所属:東京弁護士会
出身大学:東京都立科学技術大学工学部、東京大学大学院工学系研究科(修士)、早稲田大学法科大学院
交通事故案件を担当する際に心がけているのは、ご依頼いただいた被害者の方々の気持ちをできる限り想像して業務を行うことです。加害者側の保険会社が提示してきた低い慰謝料を見ると悔しい思いでいっぱいになります。被害者の方々の適正な賠償金を受け取る権利を守るために日々尽力していこうと考えています。
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