おかまほられた追突事故での適切な対応は?慰謝料・過失割合についても解説
突然「ガシャン!」という衝撃と音。
信号待ちなどで停車中の車に後方から車両が衝突した、いわゆる「おかまをほられた」追突事故は、誰にでも起こりうる交通事故です。
このようなとき、追突事故に関する適切な対応を知らないと、十分な補償が受けられなくなってしまうことがあります。
この記事では、停車中などに追突された(おかまほられた)いわゆるもらい事故にあった被害者の方が、損をしないために「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を、交通事故に詳しい法律事務所の視点から、わかりやすく解説します。
事故直後の方も、加害者側の保険会社とのやり取りが始まった方も、ぜひご一読ください。
- この記事でわかること
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- 追突事故にあった(おかまほられた)被害者がやるべきこと
- 加害者側の保険会社への対応
- 追突事故についての示談交渉を弁護士に依頼するメリット
- 目次
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「おかまほられた」とはどういう事故?
「おかまほられた」とは、信号待ちや渋滞で停車中の自動車が、後ろから走行してきた別の車に衝突される「追突事故」を指す俗称です。
交通事故の発生件数において、追突事故は全事故類型のなかでもっとも多く(※)、運転中の誰にでも起こり得る事故です。
- ※内閣府の統計による。令和6年(2024年)の交通事故総件数29万895件のうち、追突事故は85,293件と発生数全体の29.3%を占める。
追突事故の特徴は、一見すると重大な事故には見えなくても、その衝撃で搭乗者がむちうち(頸椎捻挫)などのケガを負いやすいことです。
車の修理費用だけでなく、治療費、休業損害など、事故後の生活に関わる賠償金が発生することがあります。
追突事故にあったとき、パニックにならず、適切な行動をとれるかどうかが、その後の生活と受け取る賠償金の額を左右することもあります。
追突された(おかまほられた)直後に被害者がすべきこと
突然追突された(おかまほられた)場合、直後はパニック状態になりがちです。
しかし、冷静になって下記にご案内する行動を順番に実行してください。
この初期対応が、のちのちの示談交渉を有利に進めるための第一歩となりうるからです。
①負傷者の救護と安全確保
まずは現場の安全確保を行いましょう。
車を路肩などの安全な場所に移動させ、ハザードランプを点灯したり、発煙筒や三角表示板を設置したりして、後続車に事故があったことを知らせます。
道路に落下物などがあるかも確認しましょう。
次に、ご自身や同乗者、そして加害者にケガがないか確認します。もしケガ人がいる場合は迷わず119番に連絡し、救急車を呼んでください。
②警察への通報
どんなに小さな追突事故でも、必ず警察に連絡してください。
警察への届出は法律上の義務であり、後日の保険金請求に必要な「交通事故証明書」を発行してもらうためにも不可欠です。
加害者から「警察を呼ばないで示談にしませんか?」と持ちかけられても、絶対に応じてはいけません。
③加害者の情報確認
示談交渉の相手となる加害者の情報を必ず確認し、メモや写真で記録するようにしましょう。
<確認しておくべき加害者の情報>
- 氏名、住所、連絡先
- 自動車のナンバー
- 加入している自賠責保険・任意保険の会社名と証明書番号
- 勤務先の名称と連絡先(業務中の事故の場合)
④事故状況の証拠保全
時間が経つにつれて記憶は薄れてしまうため、できる限り客観的な証拠を残すようにしましょう。
<証拠の保存方法>
- スマートフォンのカメラで、ぶつかった箇所、車両全体、ブレーキ痕、現場の道路状況などを多角的に撮影する
- ドライブレコーダーの映像を保存する
- 目撃者がいれば、氏名と連絡先を聞いておく
⑤ご自身の保険会社への連絡
ご自身が加入している自動車保険会社にも、事故にあったことを連絡しておきましょう。今後の対応や弁護士費用特約の利用などについてアドバイスをもらえるはずです。
⑥少しでも痛みや違和感があればその日のうちに病院へ
事故直後は、興奮状態で痛みが感じにくくなっていることも多いので、少しでも痛みや違和感があれば、骨折などがないかを確認するために、病院を受診しておくことをおすすめします。
また、頭を打った場合や、非常に強く頭部を揺さぶられた場合などには、脳に異常がないかを確認するために、自覚症状がなくても病院に行きましょう。
翌日以降に痛みが出てきた場合には、ただちに病院に行ってください。事故から日数が経ってから通院を開始した場合、事故とケガとの因果関係を証明するのが難しくなり、治療費などの賠償を受けられなくなる可能性があります。
追突された(おかまほられた)被害者が避けるべき行動
追突事故が起きたときに、やってはいけない行動は以下の4つです。
- 警察に通報しない
- その場で示談所にサインする
- 痛みが軽いからと病院に行かない
- 痛みがあるのに物損事故として届け出る
下記で詳しく解説します。
行動① 警察に通報しない
交通事故が起こったことを警察に通報しなかった場合のデメリットは下記のとおりです。
- 「事故報告義務違反」として処罰の対象となる可能性がある
- 交通事故証明書が作成されないため、保険会社から補償を受けられない可能性がある
- 実況見分調書が作成されないため、加害者側から適切な賠償金を受け取るための証拠が不足してしまう
加害者から「警察を呼ばないで示談してほしい」などと言われても、絶対に応じないようにしましょう。
行動②その場で示談書にサインする
加害者側から「修理代を支払うから、警察を呼ばずにこの場で示談しませんか?」と持ち掛けられることがあります。
これに応じてしまうと、上記でご紹介した「事故報告義務違反」になるだけでなく、下記のような不利益を被る可能性があります。
- 決めたはずの賠償金額を支払ってもらえない
- 事故発生直後では正確な損害額が不明なため、その場で約束した金額では損をしてしまうおそれがある
示談が一度成立すると、原則、慰謝料の追加請求などはできませんので、慎重に進める必要があります。
なお、示談は口頭でも成立するため、安易に口約束をすることも避けましょう。
行動③ 痛みが軽いからと病院に行かない
交通事故では、直後にはたいした痛みではないと思っていても、時間が経つにつれて痛みがひどくなったり、しびれなどの症状が出てきたりするケースがあります。
病院を受診せずにいてケガの後遺症が残った場合には、交通事故と痛みの因果関係が証明できないため、治療費や入通院慰謝料などを加害者に請求することが難しくなります。
交通事故にあったら、安易な自己判断をしないで、きちんと医師の診断を受けましょう。
行動④ 痛みがあるのに物損事故として届け出る
少しでも体に痛みや違和感がある場合には、警察に「人身事故」として届け出ましょう。物損事故として処理されてしまった場合、上記でご紹介した治療費や入通院慰謝料などの請求が難しくなる場合があります。
なお、物損事故で届け出てしまったあとでも人身事故への切り替えは可能です。時間が経つと切り替えられないことがあるため、早めに申し出るようにしましょう。
追突事故の過失割合は10:0が原則
過失割合とは、交通事故が起きた際に、被害者側と加害者側それぞれについて、どの程度の原因や責任(ex. 前方不注意、スピード違反など)があるのかを示す割合です。簡単にいえば、「どちらがどのくらい悪いのか」ということを表します。
信号待ちや渋滞で停車中に後ろから追突された(おかまほられた)事故は、一方的な「もらい事故」であり、被害者には落ち度がありません。
そのため、加害者と被害者の過失割合は、原則、加害者:被害者=10:0となります。
被害者にも過失がつく例外的なケースとは?
ただし、下記のような状況では、被害者側にも過失が認められる可能性があります。
- 急ブレーキをかけた場合(危険を防止するためやむを得ない場合を除く)
- 駐停車禁止場所に車を停めていた場合
- ブレーキランプが故障・不点灯だった場合
- 降雨や濃霧、夜間で街灯がないなど、視認不良な状況がある場合
など
たとえば、被害者が急ブレーキをかけたことによって追突事故が発生した場合、被追突車にも30%程度の過失が生じることがあります。
また、進行中に相手車両を発見して停車した場合などでは、事故発生よりも前に停車していたとしても、追突事故とは異なります。
なお、過失割合は事故状況や道路環境といった個別の事情によって変わります。
過失割合で争いになってしまった場合は、ドライブレコーダーの映像や刑事記録、目撃者証言などを提出して、事故状況を明らかにすることとなります。
過失割合が慰謝料に与える影響
被害者にも損害の発生や拡大について過失が認められる場合には、その割合分、受け取れる示談金全体が減額されます(過失相殺)。
たとえば、被害者が理由のない急ブレーキをかけたことが原因で追突事故が発生し、被害者の損害が100万円、被害者の過失割合が30%となった場合を考えます。
この場合、被害者側が受け取れる賠償額は3割減額された70万円となります。
追突された(おかまほられた)事故についてのよくある質問
Q:示談金として請求できる損害には何が含まれますか?
示談金には下記のような損害が含まれます。
| 損害の種類 | 内容 |
|---|---|
| 治療関係費 | 治療費、通院交通費、薬代、入院費など |
| 通院交通費 | バスや電車等の公共交通機関を使用した際の実費など |
| 休業損害 | 事故によるケガで仕事を休んだことによる減収分 |
| 入通院慰謝料 | 入院や通院を強いられたことに対する精神的苦痛への補償 |
| 後遺障害慰謝料 | 後遺障害が残った場合の精神的苦痛への補償 |
| 後遺障害逸失利益 | 後遺障害によって将来得られるはずだった収入が減少したことへの補償 |
Q:保険会社からの提示額が低い場合、どうしたらいいでしょうか?
加害者側の保険会社が最初に提示してくる示談金額は、通常もっとも低い「自賠責保険基準」もしくはそれに近い「任意保険基準」で計算されていることが多いです。
弁護士が介入し、「弁護士基準」で交渉することで、慰謝料が増額されるケースもあるため、交通事故に詳しい弁護士への相談を検討されることをおすすめします。
Q:「むちうち」でも後遺障害は認定されますか?
はい、追突事故で多い「むちうち」では、適切な手順で後遺障害等級認定を申請することで、14級9号や12級13号が認定される可能性があります。
ただし、適切な後遺障害等級の認定を受けるには、通院方法や受けるべき検査、医師に伝えるべき内容などいくつかのポイントがあるため、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士への相談を検討すべきタイミング
交通事故被害に関する損害賠償請求は被害者の方ご自身で行うことも可能です。
ただ、知識や交渉力で保険会社の担当者に対抗するのは困難です。特に以下のタイミングでは、一度弁護士に相談することをおすすめします。
タイミング① 後遺障害等級の認定に納得がいかない
後遺障害等級認定を申請したのに非該当だったなど、結果に納得がいかない場合には、異議申立てを行うことが可能です。
ただ、異議申立てを行うには、提出する資料に関する判断力や医学的証拠に基づいた専門的な主張が求められます。
ご自身での手続を検討している方も、一度弁護士に相談することをおすすめします。
タイミング② 保険会社から示談内容を提示された
保険会社から具体的な金額が提示されても、その金額が適切な額なのかわからない場合も多いでしょう。
示談所にサインをする前に弁護士に相談し、請求すべき項目がすべて入っているか、提示されている金額が弁護士基準に照らして適切なものか、などをチェックしてもらうことをおすすめします。
示談交渉を弁護士に依頼するべき理由
理由① おかまほられた(過失0)だと保険会社の示談代行サービスを使えない
過失割合が10対0の事故において、被害者側の保険会社は、加害者側との示談交渉を代理で行うことができません。
なぜなら、被害者側に過失がないため、被害者側の保険会社が加害者側に保険金を支払う義務がなく、示談交渉の当事者ではなくなってしまうからです。
そのため、被害者はご自身で加害者側の保険会社と示談交渉を進めることになります。
被害者ご自身で交渉する場合、「加害者側の保険会社から提示される慰謝料や賠償金が低額すぎる」、「交通事故とケガの因果関係を否定されてしまう」という事態があり得ます。双方が主張を譲らずに示談交渉が長期化する可能性もあり、被害者の方にとって大きな負担となってしまうでしょう。
そこで、弁護士に示談交渉を代行してもらうことがおすすめです。
弁護士であれば、示談金の額や加害者側の保険会社の対応の妥当性を判断し、被害者の方に代わって示談交渉を進めるため、被害者ご自身の負担が軽減されます。
加えて、弁護士が示談交渉に介入することで慰謝料が増額する可能性が高まります。
理由② 慰謝料(示談金)の増額が期待できる
慰謝料などの算定基準には、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判所基準)の3つがあります。弁護士に依頼した場合、弁護士は被害者の方が受け取れる賠償額が一番多くなるよう、弁護士基準を踏まえた金額で交渉します。
ほとんどのケースにおいて、保険会社は独自の支払基準をもとに計算した示談金額を提示してきますが、被害者の方ご自身で保険会社と示談交渉を行っても、弁護士基準での示談は難しいです。
交通事故被害に詳しい弁護士に示談交渉を任せることで、賠償金増額のご期待に沿えるよう尽力いたします。
理由③ 面倒でストレスのかかる交渉を任せられる
被害者の方ご自身で加害者側の保険会社への対応をすべて行うのは大変なことです。保険会社の担当者とのやり取りは、被害者の方にとって大きな負担となりますし、お仕事をされている方は時間の確保が難しいことと思います。
弁護士に依頼した場合、示談の方針が決まれば、実際の保険会社とのやり取りは弁護士が代わりに行います。これにより、保険会社との面倒でストレスのかかるやり取りから解放されます。
まとめ
いわゆる「おかまほられた」追突事故にあった場合に、被害者がどのような対応をすればいいのか、何をしてはいけないのか、などご理解いただけたでしょうか。的確な対応をしなかった場合、損害賠償請求において損をしてしまうこともあるので、ご注意ください。
また、追突事故は、通常、被害者に過失がないため、ご自分の保険会社に示談交渉を代行してもらうことができません。ご自身での示談交渉が必要となりますが、被害者の方ご自身で対応されるのは難しいことと思います。
ぜひ交通事故に詳しい弁護士などに相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。
適切な慰謝料を受け取るためにアディーレにご相談ください
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
弁護士費用特約を利用する方の場合は、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われます。
また、通常は弁護士費用が保険会社の上限額を超えた部分は自己負担となりますが、アディーレにご依頼いただく場合は、保険会社の上限を超えた分の弁護士費用は請求いたしません。
そのため、お手元からのお支払いはないため、安心してご依頼いただけます。
- ※弁護士費用特約の利用を希望する場合は、必ず事前に加入の保険会社にその旨ご連絡ください(弁護士費用特約には利用条件があります)。
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- ※委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いいただきます。
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