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外貌醜状の後遺障害等級認定と賠償金

目次

外貌醜状とは

外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)とは、交通事故で、頭部、顔面部、頸部といった手足以外の通常人目に触れる部位に、人目につくような傷痕が残ってしまった状態を指します。

外貌醜状と認められ得る主な後遺症

  • 傷痕が隆起したり、へこんだりする
  • 皮膚や組織の欠損・陥没
  • 直線的な傷痕が残る
  • ケロイド

など

外貌醜状の後遺障害等級認定と賠償金

交通事故によるケガで後遺症が残った場合、その症状の重さによって1級~14級の等級に分類したものを後遺障害等級といいます。
後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。

等級に応じてこの金額が変わるため、適切な等級認定を受けることが重要です。

外貌醜状の場合の後遺障害等級

等級内容
7級外貌に著しい醜状を残すもの
9級外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級外貌に醜状を残すもの

外貌醜状が後遺障害として認定されるためには、下記の2つの要件を満たしていることが必要です。

  1. 外貌醜状が残っていること
  2. 交通事故との因果関係が証明できること

等級ごとの違い

外貌醜状は、残った傷あとの程度、大きさ、部位、傷痕の種類によって、認定される後遺障害等級が変わります。

【7級の場合】

  • 頭部に手の平大(指の部分は含まない)以上の瘢痕(はんこん)または頭蓋骨の手の平大以上の欠損が残る
  • 顔面部に鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没が残る
  • 頸部に手の平大以上の瘢痕が残る

【9級の場合】

  • 顔面や頭部に、人目に付く程度の長さ5㎝以上の線状の痕が残る

【12級の場合】

  • 頭部に鶏の卵より大きい瘢痕または頭蓋骨に鶏の卵より大きい欠損が残る
  • 顔面に10円玉より大きい瘢痕または長さ3cm以上の線状痕が残る
  • 頸部に鶏の卵より大きい瘢痕が残る

後遺障害慰謝料について

後遺障害慰謝料には、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準(裁判所基準)」の3つの算定基準があります。
このなかで、通常は弁護士基準がもっとも高額となります。

ただ、加害者側の保険会社の提示してくる金額は、自賠責保険基準もしくは任意保険基準によることが多く、弁護士基準よりかなり低額となります。
そのため、弁護士基準で算定し、加害者側の保険会社と交渉することが大切です。

外貌醜状の場合の後遺障害慰謝料

後遺障害等級自賠責保険基準弁護士基準
7級419万円(409万円)1,000万円
9級249万円(245万円)690万円
12級94万円(93万円)290万円
  • ()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合

後遺障害逸失利益について

後遺障害逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が残った場合に、将来得られたはずだった利益を補償するものです。

後遺障害の逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。

基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

外貌醜状の場合の労働能力喪失率

後遺障害等級労働能力喪失率
7級56%
9級35%
12級14%

労働能力喪失期間とライプニッツ係数

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.9709
10年8.5302
15年11.9379
30年19.6004
50年25.7298
80年30.2008

ただし、外貌醜状に関する逸失利益の場合、等級認定表に定められた労働能力喪失率どおりに算定されないことがあります。

裁判例においても、自賠責保険で定められた労働能力喪失率を大幅に下回ったケースや、外貌醜状が仕事に与える影響はまったくないとして逸失利益を算定しなかったケースも見られます。

後遺障害等級認定のポイント

①事故による手術や治療による傷痕も対象となる

外貌醜状は、交通事故によって生じたものに加えて、手術痕など治療過程において生じた傷も後遺障害認定の対象となります。
また、2個以上の瘢痕または線状痕が隣接するなどして1個の瘢痕または線状痕といえるときは、それらの面積や長さを合算して等級を認定します。

なお、外貌醜状には、やけどが治癒したあとの色素沈着や、色素が脱失した白斑なども含まれます。

②認定基準に男女の区別はない

2011年以前は、男女で異なる認定基準が設けられていました。
しかし、2011年に等級認定表が改正され、2010(平成22)年6月10日以降の事故については、性別に関係なく同じ認定基準が用いられています。

③被害者請求という申請方法を選ぶ

後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。

事前認定は、加害者側の保険会社に申請手続を任せられるため手間はかかりません。
ただ、必要最低限の書類で申請されて期待どおりの結果が得られない可能性があります。

これに対して、被害者請求は被害者の方ご自身で書類作成や資料収集を行うため、手間と時間はかかりますが、書類の不備や不足があっても対応できますし、認定を受けるうえで有利となる資料を追加することも可能です。

以上のことから、すべて被害者の方ご自身で対応できる被害者請求のほうが、適切な後遺障害等級が認定される可能性が高まります。

④認定の申請を弁護士に依頼する

後遺障害等級認定はケガの部位によって認定要件が違います。
これに伴い、チェックすべき事項も異なってくることから、必要十分な内容の後遺障害診断書が作成されているかを被害者の方ご自身で確認し、可否を判断することは難しいでしょう。

後遺障害等級認定に詳しい弁護士に後遺障害診断書を確認してもらうことをおすすめします。

アディーレにご依頼いただければ認定に必要なサポートをいたします!

  • 後遺障害等級認定を想定した適切な通院頻度のアドバイス
  • 申請に必要な資料の精査・検討
  • 申請手続の代行
  • 認定結果に疑問があった際の異議申立ての代行