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手指の後遺障害の後遺障害等級認定と賠償金

目次

手指の後遺障害とは

手指の後遺障害は、交通事故のケガにより、手の指が切断・手の指が動かない状態などを指します。

手指の後遺障害は欠損障害、機能障害の2種類に分けられ、それぞれ障害の程度別に等級が定められています。

手指の後遺障害と認められ得る主な後遺症

【欠損障害】
(例)手指を切断した

【機能障害】
(例)親指が動かせなくなった

など

手指の機能障害の後遺障害等級認定と賠償金

交通事故によるケガで後遺症が残った場合、その症状の重さによって1級~14級の等級に分類したものを後遺障害等級といいます。
後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。

等級に応じてこの金額が変わるため、適切な等級認定を受けることが重要です。

手指の後遺障害の場合の後遺障害等級

手指の欠損障害

等級内容
3級両手の手指の全部を失ったもの
6級1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
7級1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
8級1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
9級1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
11級1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
12級1手のこ指を失ったもの
13級1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
14級1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

手指の機能障害

等級内容
4級両手の手指の全部の用を廃したもの
7級1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
8級1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
9級1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
12級1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
13級1手のこ指の用を廃したもの
14級1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

「用を廃した」とは、以下のいずれかにあてはまる状態です。

  • 手指の末節骨の半分以上を失う
  • 親指は指節間関節、それ以外の指は中手指節関節または近位指節間関節に著しい運動障害がある

手指の後遺障害が後遺障害として認定されるためには、下記の2つの要件を満たしていることが必要です。

  1. 手指の後遺障害が残っていること
  2. 交通事故との因果関係が証明できること

後遺障害慰謝料について

後遺障害慰謝料には、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準(裁判所基準)」の3つの算定基準があります。
このなかで、通常は弁護士基準がもっとも高額となります。

ただ、加害者側の保険会社の提示してくる金額は、自賠責保険基準もしくは任意保険基準によることが多く、弁護士基準よりかなり低額となります。
そのため、弁護士基準で算定し、加害者側の保険会社と交渉することが大切です。

手指の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料

後遺障害等級自賠責保険基準弁護士基準
3級861万円1,990万円
4級737万円(712万円)1,670万円
6級512万円(498万円)1,180万円
7級419万円(409万円)1,000万円
8級331万円(324万円)830万円
9級249万円(245万円)690万円
11級136万円(135万円)420万円
12級94万円(93万円)290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円
  • ()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合

後遺障害逸失利益について

後遺障害逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が残った場合に、将来得られたはずだった利益を補償するものです。

後遺障害の逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。

基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

手指の後遺障害の場合の労働能力喪失率

後遺障害等級労働能力喪失率
3級100%
4級92%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

労働能力喪失期間とライプニッツ係数

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.9709
10年8.5302
15年11.9379
30年19.6004
50年25.7298
80年30.2008

後遺障害等級認定のポイント

①手指の可動域制限を測定する

手指の機能障害が後遺障害と認定されるには、手指の機能障害の有無を判断するための検査を受け、客観的な他覚所見を得ることが必要です。

手指の関節の機能障害の検査は、関節の可動域を測定し、健側(=正常な側)の可動域または参考可動域の角度と比較することによって評価します。
原則として、他動運動(外部から力を加えて動かす)により測定します。

ただし、他動運動による測定が適切でないものについては、自動運動(自力で動かす)による測定値を参考にします。検査は親指と親指以外の指で異なります。

可動域の角度により後遺障害等級が変わってくるため、医師に正確に測定してもらうことが大切です。

親指の可動域測定

親指の関節の可動域については、角度計を用いて橈側外転、掌側外転、屈曲・伸展(合計値)の角度を計測します。

親指の可動域測定の図

※IP……指節間関節
※MCP……中手指節関節

親指以外の指の可動域測定

親指以外の指の関節の可動域については、角度計を用いて屈曲・伸展(合計値)の角度を計測します。外転・内転の角度を測ることもあります。

親指以外の指の可動域測定の図

※DIP……遠位指節間関節
※PIP……近位指節間関節
※MCP……中手指節関節

②深部感覚・表在感覚を確認する検査を受ける

手指の末節の指腹部および側部の深部感覚・表在感覚について、筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことが確認されれば、後遺障害が認定されます。

③被害者請求という申請方法を選ぶ

後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。

事前認定は、加害者側の保険会社に申請手続を任せられるため手間はかかりません。
ただ、必要最低限の書類で申請されて期待どおりの結果が得られない可能性があります。

これに対して、被害者請求は被害者の方ご自身で書類作成や資料収集を行うため、手間と時間はかかりますが、書類の不備や不足があっても対応できますし、認定を受けるうえで有利となる資料を追加することも可能です。

以上のことから、すべて被害者の方ご自身で対応できる被害者請求のほうが、適切な後遺障害等級が認定される可能性が高まります。

④認定の申請を弁護士に依頼する

後遺障害等級認定はケガの部位によって認定要件が違います。
これに伴い、チェックすべき事項も異なってくることから、必要十分な内容の後遺障害診断書が作成されているかを被害者の方ご自身で確認し、可否を判断することは難しいでしょう。

後遺障害等級認定に詳しい弁護士に後遺障害診断書を確認してもらうことをおすすめします。

アディーレにご依頼いただければ認定に必要なサポートをいたします!

  • 後遺障害等級認定を想定した適切な通院頻度のアドバイス
  • 申請に必要な資料の精査・検討
  • 申請手続の代行
  • 認定結果に疑問があった際の異議申立ての代行