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TFCC損傷の後遺障害等級認定と賠償金
TFCC損傷とは
TFCC損傷とは、三角繊維軟骨複合体損傷(Triangular Fibrocartilage Complex損傷)のことを指します。
手首が腫れる、動きにくく感じる、手首をひねると痛むといった状態が続くケースでは、TFCC損傷が疑われます。
TFCCは、三角線維軟骨複合体という、手首の小指側にある2つの骨(橈骨と尺骨)を結ぶ三角の形状をした組織のことです。
靭帯や軟骨、腱などの複数のパーツで構成される軟部組織で、手首の小指側の安定性・支持性を与えると同時に、手首をひねる・ねじるなどの力が加わったときに、力の伝達、分散、吸収などを行う役割を担っています。

TFCC損傷と認められ得る主な後遺症
- 手首が腫れる
- 動かしにくく感じる
- 手首をひねると痛む
- 可動域が制限される
- 力が入りにくくなる
など
TFCC損傷の後遺障害等級認定と賠償金
交通事故によるケガで後遺症が残った場合、その症状の重さによって1級~14級の等級に分類したものを後遺障害等級といいます。
後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。
等級に応じてこの金額が変わるため、適切な等級認定を受けることが重要です。
TFCC損傷の場合の後遺障害等級
TFCC損傷では、手首の可動域の有無によって、認定される後遺障害等級が分けられ、そのなかでさらに症状の程度で分けられます。
手関節の可動域制限が出ていない場合であっても、神経症状として後遺障害等級認定がされる可能性があります。
手首の可動域が制限されている場合
等級 | 内容 |
---|---|
10級 | 1上肢の3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級 | 1上肢の3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)中の1関節の機能に障害を残すもの |
10級と12級は、手首の可動域が健側の可動域に比べてどのくらい制限されているかで区別されます。
手首の可動域が制限されていない場合
等級 | 内容 |
---|---|
12級 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級 | 局部に神経症状を残すもの |
12級と14級は、「他覚的所見」のある痛みやしびれがあるかどうかで区別されます。
「他覚的な所見」とは、医師などの第三者がレントゲン審査やMRI審査によって、客観的に認識できることをいいます。
TFCC損傷では、MRIなどの画像所見によってTFCC損傷が確認できれば、他覚的所見ありと認められる可能性があります。
TFCC損傷が後遺障害として認定されるためには、下記の2つの要件を満たしていることが必要です。
- 「手首の可動域の制限」、「手関節の痛み」が客観的に認められること
- 交通事故との因果関係が証明できること
後遺障害慰謝料について
後遺障害慰謝料には、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準(裁判所基準)」の3つの算定基準があります。
このなかで、通常は弁護士基準がもっとも高額となります。

ただ、加害者側の保険会社の提示してくる金額は、自賠責保険基準もしくは任意保険基準によることが多く、弁護士基準よりかなり低額となります。
そのため、弁護士基準で算定し、加害者側の保険会社と交渉することが大切です。
TFCC損傷の場合の後遺障害慰謝料
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
10級 | 190万円(187万円) | 550万円 |
12級 | 94万円(93万円) | 290万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
- ※()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合
後遺障害逸失利益について
後遺障害逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が残った場合に、将来得られたはずだった利益を補償するものです。
後遺障害の逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。
基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
TFCC損傷の場合の労働能力喪失率
後遺障害等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
10級 | 27% |
12級 | 14% |
14級 | 5% |
労働能力喪失期間とライプニッツ係数
労働能力喪失期間 | ライプニッツ係数 |
---|---|
1年 | 0.9709 |
10年 | 8.5302 |
15年 | 11.9379 |
30年 | 19.6004 |
50年 | 25.7298 |
80年 | 30.2008 |
後遺障害等級認定のポイント
①TFCC損傷に詳しい医師の治療を受ける
TFCC損傷は、医師でも診断が難しく、見落されてしまうことも多い傷病です。
交通事故の直後に病院を受診しましょう。
しばらく治療を続けても手首の痛みなどが治まらない場合には、TFCC損傷に詳しい医師の診察を受けましょう。
TFCC損傷は徐々に痛みが強くなることが多く、交通事故から時間が経ってしまってから治療を受けても、交通事故との因果関係が証明されないおそれがあるためです。
診察を受けて「TFCC損傷である」と診断された場合には、症状を改善するための治療を受けてください。
TFCC損傷の治療としては、固定療法(ギプス、テーピング、サポーターなど)、手関節内ステロイド注射(手術が困難な場合)、手術などがあります。
TFCC損傷は交通事故との因果関係を立証することが難しいケースもあるため、専門医のもとできちんと治療を継続したうえで、適切な後遺障害等級を認定してもらうための医学意見書を作成してもらうことをおすすめします。
②症状を確認できる検査を受ける
軟部組織であるTFCCはレントゲンには写りません。
TFCC損傷が疑われる場合は、なるべく早期にMRIなどの精密審査を受けたり、手の専門医の診断を受けたりすることをおすすめします。
腫れや痛みがひどくても、必要な検査を受けないと原因がわからないままです。
腫れや痛みを裏付ける他覚的所見や、医学的な整合性を判断することができません。
適切な後遺障害等級が認定されるためには、適切な検査と、その検査結果により後遺症が医学的に裏付けられていることが必要となります。
③被害者請求という申請方法を選ぶ
後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。
事前認定は、加害者側の保険会社に申請手続を任せられるため手間はかかりません。
ただ、必要最低限の書類で申請されて期待どおりの結果が得られない可能性があります。

これに対して、被害者請求は被害者の方ご自身で書類作成や資料収集を行うため、手間と時間はかかりますが、書類の不備や不足があっても対応できますし、認定を受けるうえで有利となる資料を追加することも可能です。

以上のことから、すべて被害者の方ご自身で対応できる被害者請求のほうが、適切な後遺障害等級が認定される可能性が高まります。
④認定の申請を弁護士に依頼する
後遺障害等級認定はケガの部位によって認定要件が違います。
これに伴い、チェックすべき事項も異なってくることから、必要十分な内容の後遺障害診断書が作成されているかを被害者の方ご自身で確認し、可否を判断することは難しいでしょう。
後遺障害等級認定に詳しい弁護士に後遺障害診断書を確認してもらうことをおすすめします。
アディーレにご依頼いただければ認定に必要なサポートをいたします!
- 後遺障害等級認定を想定した適切な通院頻度のアドバイス
- 申請に必要な資料の精査・検討
- 申請手続の代行
- 認定結果に疑問があった際の異議申立ての代行