交通事故による耳鳴りで後遺障害と認定されるには?慰謝料請求はどうなる?

交通事故にあった場合、事故後に耳鳴りが起こることがあります。一時的なもので済む場合もありますが、実際は後遺症として残ってしまうケースも少なくありません。
後遺症について賠償金(慰謝料や逸失利益など)を請求するためには、「後遺障害」として認定されることが必要です。
耳鳴りも後遺障害として認定される可能性があり、認定されれば等級に応じて慰謝料や逸失利益を請求することができます。
もっとも、耳鳴りは外から見えにくいため、後遺障害認定が難しい場合もあり得ます。
そこで本コラムでは,耳鳴りの症状や耳鳴りが後遺障害として認定されるケース、受け取れる慰謝料や逸失利益の相場について説明します。
- この記事でわかること
-
- 耳鳴りで認められる後遺障害
- 耳鳴りの症状と受けておくべき検査
- 耳鳴りで請求できる慰謝料の相場
- 目次
交通事故被害の
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交通事故による耳鳴りとは
耳鳴りの症状
事故により聴覚にかかわる器官を直接的に損傷したような場合、通常は即座に聴覚に異常を生じます。
しかし、むち打ちのような比較的軽いケガでは、事故発生から数日から数週間を経過して耳鳴りを生じる例もあるのです。
耳鳴りの症状には個人差があり、キーンとする高音のものからジーという低音のもの、めまいや吐き気を伴うことまであります。
残念ながら、耳鳴りが生じる原因についてはわかっていない部分もあり、ほかの人への説明も難しいことから、周囲の理解が得られずに苦しまれている方もいらっしゃるでしょう。
このような耳鳴りの症状がある場合には、早期に耳鼻科専門医を受診しましょう。
適切な治療や検査を受けることでa改善される場合もありますし、もし万が一、耳鳴り症状が残存してしまった場合、後遺障害として認定される可能性が高いです。
日常生活における耳鳴りの影響
耳鳴りは直接的に痛みがあるわけでも身体機能が制限されるわけでもありません。
しかし、苦痛がない症状とは言いがたいものですし、放っておくと深刻な事態に陥るおそれがあります。
耳鳴りそのものが不快であり、人の声が聞き取りにくくなることはもちろんですが、なかには静かな環境ほど強く耳鳴りを自覚する方もおられ、耳鳴りが睡眠の妨げになったり、仕事や趣味に集中できなかったりします。
さらに、そういった状況が続くと、リラックスできる状況が少なくなってイライラしやすくなりますし、常に耳鳴りに気が向いて鬱状態や不眠症になってしまうこともあり得るのです。
耳鳴りのための検査・治療にはどんなものがある?
聴力に係る検査
純音聴力検査
自賠責保険の後遺障害認定に当たっては「難聴に伴う耳鳴り」が認められることが第一の要件となります。
聴力検査として一般的なのは、オージオメータという装置を用いるものです。
狭い検査室に入り、ヘッドバンドを装着し検査音に合わせてボタンを押すというものであり、健康診断などで受けたことがある方も多いかと思います。
なお、難聴か否かは、純音聴力検査の結果から求める平均聴力レベルから判断されます。
耳鳴りに係る検査
ピッチ・マッチ検査
オージオメータまたは耳鳴りの検査装置を用いて、自分に聞こえている耳鳴りが11周波数のうちのどの音に近いかを調べる検査です。
ラウドネス・バランス検査
耳鳴りの大きさを調べる検査であり、耳鳴りの検査のなかでもっとも重要な検査です。
ピッチ・マッチ検査で得られた周波数の比較音を、音量を変えながら流すことで耳鳴りの音量と検査音が等しくなる音量を求めます。
耳鳴りに対する治療
内耳機能などの器質的な異常が見つからなければ、薬剤の投与や上記の検査を複数回行いながら、改善するまで経過観察を行っていくことが多いようです。
数ヵ月程度の治療を行い、聞こえにくさや耳鳴りに改善が見られない場合は後遺障害申請が検討されます。
耳鳴りの後遺障害とは?
耳鳴りが後遺障害とされるための認定要件
自賠責法施行令には耳鳴り症状について定まった等級がないため、その程度に応じて14級か12級に準じた等級として評価されます。
12級相当「耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できる」
上述のピッチ・マッチ検査、ラウドネス・バランス検査において、難聴に伴う耳鳴りが所見された場合に認定対象となります。
注意として、耳鳴検査装置を取り扱っていない耳鼻科が存在し、聴力検査を行っても耳鳴検査が行われない場合があります。
その時は主治医に後遺障害申請のため検査が必要になる旨を説明し、検査が可能な病院へ紹介状を書いてもらう必要があります。
14級相当「難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できる」
難聴に伴いというのが重要な点です。
聴覚障害であれば、片耳の平均聴力レベルが6分平均40db以上から認定対象となりますが、耳鳴り症状の場合は40db以下の聴力レベルでも14級が認定される場合があります。
また、特定音域の難聴に伴って耳鳴りが生じているような場合でも認定された例があります。
耳鳴りの後遺障害認定で請求できる慰謝料の相場
後遺障害の慰謝料
後遺障害が認められた場合、治療期間に発生する損害(治療費など。慰謝料を含む)とは別に、後遺障害による損害として「後遺障害の慰謝料」を請求することができます。
そして、後遺障害の慰謝料は、治療期間に発生する損害として請求できる慰謝料(入通院慰謝料)とは別に請求できます。
なお、後遺障害の慰謝料については、後遺障害の各等級号別に支払い金額が基準化されており、耳鳴りの後遺障害で見込める後遺障害の慰謝料については、以下のとおりです。
12級相当:耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できる状態
14級相当:難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できる状態
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級相当 | 94万円 (93万円) | 290万円 |
14級相当 | 32万円 | 110万円 |
- ※()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合
交通事故による耳鳴りについてよくある疑問
Q.耳鳴りで後遺障害認定を受けるためにすべきことは何ですか?
耳鳴りで後遺障害認定を受けるための主なポイントとしては、下記の3点が挙げられます。
1.耳鳴りの検査は早めに受ける
耳鳴りの原因が交通事故にあると証明するため、事故後すぐに検査する必要があります。
期間があくと、交通事故が原因なのか因果関係を疑われてしまうため、事故から3日以内には検査を受けましょう。
2.医師に後遺障害診断書を書いてもらう
医師に、これ以上治療しても改善の見込みがない(症状固定)と判断されたら、後遺障害診断書を作成してもらいましょう。
この際、交通事故と耳鳴りとの因果関係をしっかりと記載してもらうことが重要です。
3.耳鳴りにより仕事や生活に支障が出ていると証明する
後遺障害診断書に、「耳鳴りにより仕事に支障が生じている」との記載があると、後遺障害が認定されやすくなります。
このとき、後遺障害診断書に加えて、経過診断書などの証拠となる書類を用意するようにしましょう。
Q.耳鳴りで逸失利益はもらえますか?
もらえる可能性があります。
後遺障害等級が認定された場合、被害者は加害者に逸失利益の支払いを求めることができます。
逸失利益とは、交通事故にあわなければ将来得られるはずだった収入の減少分のことです。
耳鳴りによる後遺障害等級が認定された場合も、被害者に改善しない症状が残存し、治療が終わったあとも日常生活に影響が残ってしまっていることから、労働力に影響を及ぼすと考えられます。
逸失利益の金額は下記の計算式で算出します。
基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
なお、逸失利益の請求において、収入能力や後遺障害による影響の度合いについて、争いになることも多いです。
交通事故被害に詳しい弁護士に相談することを検討しましょう。
適切な賠償金を受け取るためのポイント
交通事故にあった際、適切な賠償金を受け取るために覚えておきたいポイントをご紹介します。
弁護士基準で慰謝料を算定する
同じ後遺障害等級でも、採用する基準で慰謝料額が大きく変わってきます。
保険会社は自賠責保険基準もしくは独自の基準で算定した金額を提示してくることが多く、裁判をしたならば認められる弁護士基準(裁判所基準)で請求することにより、最終的な賠償金を増額できる可能性が高いです。

そのため、すぐに示談せず、交通事故に詳しい弁護士に一度相談されることをおすすめします。
適切な後遺障害等級の認定を受ける
後遺障害の等級に応じて、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が変わってくるため適切な後遺障害等級認定を受けることが大切です。
もし、耳鳴り以外のケガの後遺障害が認められた場合、耳鳴りの等級と併合されて等級が上がることもあります。
認定結果に納得がいかない場合、異議申立てをすることも可能です
しかし、後遺障害等級認定の申請手続はさまざまな資料を必要とします。
また、資料に不足がないかどうかの判断には、法律的・医学的な専門知識も必要です。
そこで弁護士に依頼し、申請のサポートを受けることで適切な後遺障害等級認定の獲得を目指せます。
まとめ
耳鳴りは外から見えにくい障害であるため、後遺障害等級認定が難しい後遺症の一つといえます。
労災保険および自賠責保険における耳の後遺障害で、耳鳴りについての認定は多く存在していますが、自覚症状があるにもかかわらず、適切に検査や治療を受けないことで、後遺障害として認定されないことも多いのです。
万が一、症状が残ってしまった場合、耳鳴り症状で後遺障害の認定を受けるためには、症状を自覚したらいち早く、耳鼻科などの専門医を受診することが大切です。
また、交通事故によるケガの適切な治療や、後遺障害等級の認定に必要な手続や示談交渉には、さまざまな知識が必要となります。
ご自分での判断が不安な方は、経験豊富で、交通事故に精通した弁護士への相談をおすすめします。
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