【弁護士監修】もらい事故の対応ガイド|車の修理から示談までの流れと注意点
「信号待ちで停車中に後ろから追突された…」
「青信号で横断歩道を歩行中に信号無視した車と衝突した」
このような、被害者に一切の過失がない交通事故を「もらい事故」と呼びます。
自分は悪くないのだからスムーズに解決するだろうと思いきや、実はもらい事故には「自分が加入している保険会社に示談交渉を代行してもらえない」という大きな落とし穴があります。被害者自身で加害者側の保険会社(もしくは加害者本人)と交渉しなければならず、精神的にも大きな負担がかかります。
この記事では、もらい事故に遭ってしまった方へ向けて、事故後の適切な対応手順から注意点まで、弁護士が解説します。
- この記事でわかること
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- もらい事故の基本と、過失割合が「10対0」になるケース
- もらい事故特有のデメリットと対応時の注意点
- 事故発生から車の修理・示談解決までの全体の流れ
- 目次
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もらい事故とは?過失割合が「10対0」になる典型的なケース
もらい事故とは、被害者側にまったく落ち度(過失)がない交通事故のことを指します。
一般的な交通事故では、「お互いに前方不注意があった」などとして、「8対2」や「9対1」のように双方に過失割合が割り振られるのが通常です。
しかし、もらい事故の場合は、加害者の一方的な過失によって引き起こされたものとして、過失割合が「10対0(加害者100%:被害者0%)」となります。
過失割合が10対0となる典型的なケースとして、主に以下の3つが挙げられます。
- 信号待ちや渋滞で停車中の追突事故 もらい事故の中でもっとも発生件数が多いケースです。完全に停止している状態の車に後ろから追突された場合、被害者側には事故を回避する方法がないため、原則として過失割合は10対0になります。
- センターラインオーバーによる衝突 対向車が居眠り運転や脇見運転などでセンターラインをはみ出してきて衝突した場合、原則として過失割合は10対0になります。
- 赤信号無視の車との衝突 こちらが青信号に従って交差点を直進している際に、赤信号を無視して交差点に進入してきた車にぶつけられたようなケースでは、原則として過失割合は10対0になります。
あわせて読みたい:交通事故の被害者が知っておきたい、追突事故における過失割合について
【要注意】もらい事故ならではの2つの大きなデメリット
「自分は一切悪くないのだから、あとは保険会社同士でスムーズに解決してくれるだろう」と思うかもしれません。
しかし、実はもらい事故には、被害者を深く悩ませる特有の大きなデメリット(落とし穴)が存在します。
①自分の保険会社が「示談交渉を代行してくれない」
これが、もらい事故における最大のデメリットです。 被害者に過失が全くない(過失割合が0の)場合、被害者が加入している保険会社は、加害者に対して賠償金を支払う義務が発生しません。法律(弁護士法第72条)の規定により、保険金の支払い義務がない保険会社は、示談交渉を行うことが禁止されています。
つまり、もらい事故に遭ってしまった場合、被害者ご自身で、示談交渉のプロである相手方の保険会社担当者と直接やり取りしなければならないのです。ケガの治療や車の修理手配で大変な時期に、ご自身で交渉の矢面に立つことは、精神的に大きなストレスとなります。
②加害者が「無保険」だと交渉が困難になる
加害者が任意保険に加入していれば、少なくとも交渉の窓口は相手の保険会社になります。しかし、もらい事故に限った話ではありませんが、加害者が任意保険等に加入していない「無保険車」だった場合、事態はさらに深刻です。
この場合、相手の保険会社ではなく、加害者本人に対して直接、車の修理費用などを請求しなければなりません。
そのような場合だと、加害者が電話に出なかったり、「お金がない」と支払いを拒否したりするケースも少なくなく、知識のない個人が適正な賠償金を回収するのはとても難しくなってしまいます。
あわせて読みたい:無保険の相手との交通事故!賠償金を受け取るために知っておきたいリスクと対処法
もらい事故発生から示談までの全体の流れ
もらい事故に遭ってから、最終的に賠償金(修理費や慰謝料など)を受け取るまでの大まかな流れは以下の通りです。
- 警察への通報・実況見分(事故発生直後)
- 病院での受診・診断書の取得(事故当日〜数日以内)
- 加害者側の保険会社への連絡・車の修理手続き
- 治療の継続・終了(症状固定)
- 示談交渉の開始
- 示談成立・賠償金の支払い
全体の流れを把握しておくことで、「今自分がどの段階にいるのか」「次に何をすべきか」が明確になります。
【重要】ケガをした場合には早めに受診をすること
事故直後は痛みを感じず、警察に「ケガはありません」と申告してしまうケースは少なくありません。しかし、むち打ちなどの症状は、事故から数日経ってから現れることがよくあります。
ここで注意しなければならないのは、事故から一定の期間が経過してしまうと、ケガと事故の因果関係が証明できなくなる(=慰謝料などがもらえなくなる)おそれがある点です。少しでも身体に違和感がある場合は、当日か遅くとも数日以内に必ず整形外科などの病院を受診するようにしましょう。
あわせて読みたい:物損事故か人身事故か誰が決める?物損扱いのデメリットや人身への切替え方法を解説
もらい事故で修理が必要になったときの対応と注意点
もらい事故によって自動車が破損した場合、当然のことながら自動車の修理や賠償金の請求が必要です。通常、以下の流れで進めていきます。
加害者側の保険会社と連絡を取る
事故車両を修理工場へ運ぶ
修理費用の見積りを取る
示談交渉をする
なお、自動車の修理にもいろいろな落とし穴があります。そこで、まずは事故にあったときから修理・示談交渉に至るまでの流れを解説します。
①加害者側の保険会社と連絡を取る
加害者が任意保険に加入しており、かつ保険を利用するのであれば、保険会社が修理費用について対応をしてくれます。
まずは、修理工場の選定、アジャスター(損害車両の損害額等の調査確認を行う人)の派遣、修理期間中の代車手配などについて、保険会社と話合いを行いましょう。
保険会社から連絡がない場合
保険会社から連絡がない場合に、勝手に修理を進めるべきではありません。
アジャスターが実際に修理箇所を確認できなかった場合、修理費用の妥当性や損傷箇所と交通事故との因果関係が争われることがあるからです。
この場合、保険会社へ連絡して修理を進めてよいかどうか確認すべきです。そのため、事前に加害者から、加害者が加入している保険会社の連絡先を確認しておくとよいでしょう。
加害者が保険に加入していない場合
加害者が任意保険に加入していない場合、加害者が修理工場へ修理費用を支払ってくれればよいですが、そうでない場合は被害者側で修理費用を一度立て替えなければならないことがあります。
いずれにしても、被害者ご自身で修理費用の見積りを取り、その金額を相手に請求する必要があります。
「自分の保険会社から支払ってもらえばいいのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、自分の車両保険を使うことは可能です。しかしその場合は、ご自身の保険のノンフリート等級が下がり、更新後の保険料が上がる可能性があります。
そのため、車両保険を使う際は慎重に判断したほうがよいでしょう。
保険会社とのやり取りがスムーズにできない場合
保険会社とのやり取りがスムーズにいかず、思うように修理が進まないような場合は、自動車が必要な理由を説明するなどして、早急に修理を進めるように保険会社と交渉する必要があります。
しかし、この交渉は簡単なものではありませんから、交通事故に詳しい弁護士などに相談したほうがよいでしょう。
②事故車両を修理工場へ運ぶ
保険会社へ連絡したあと、事故車両を修理工場へ運び修理を開始します。自走できない場合はレッカー移動が必要になりますが、保険会社に連絡して対応してもらいましょう。
ただし、長距離のレッカー移動が必要になる場合など、その必要性と相当性について争われることがあります。このような紛争を防ぐため、事前に保険会社と調整しておいたほうが無難です。
修理先は自分の信頼できるディーラーや工場があれば、保険会社と調整の上、そちらで修理して構いません。
もっとも、修理工場に心当たりがない場合や、修理期間中の代車が必要な場合は、保険会社に提携の工場を教えてもらうのもよいでしょう。
③修理費用の見積りを取る
工場へ車両を搬入できたら、修理費用の見積りを取ります。その後、修理工場とアジャスターが協議して協定を結ぶことで、修理費用が確定します。
ただし、保険会社側の見積りと工場やディーラーから提出される見積りは、必ずしも一致するとは限りません。保険会社としては賠償金額を低く抑えたいと考えるでしょう。そのため、修理が必要な範囲や金額の相当性に争いが生じることがあるからです。
この場合は、保険会社との示談交渉において金額を協議することになります。
④示談交渉をする
保険会社と示談交渉を開始します。
示談交渉の過程で、賠償金額や過失割合について争いが生じることがあります。
示談交渉には専門知識が必要になるため、被害者個人で解決できないことも多いです。少しでも疑問や不安があれば、早めに弁護士への相談を検討されたほうがよいでしょう。
こうして、代車費用、評価損、休車損害など含めた物的損害の賠償金額に双方が合意すれば示談となり、その内容に従って金銭が支払われます。
加害者が非を認めなかった場合の対処法
示談交渉のなかで、加害者側から「過失相殺」や「過失割合」などの言葉が出てきたときは特に注意しましょう。
もらい事故とは被害者にまったく責任のない事故ですから、過失相殺されることはありません。それにもかかわらず、このような言葉が出てきた場合、加害者側が非を認めていない可能性があるからです。
仮に過失相殺を主張された場合、被害者側の主張を証明するために証拠を集める必要がありますが、このような作業には大きな負担を伴います。また、示談交渉で合意できない場合には訴訟に発展することもあります。
そういったケースまで想定すると、早い段階で弁護士へ相談することは、非常に有効な対処法となるでしょう。
レッカー代も対象?気になる修理費以外の請求項目
物的損害として請求できるのは修理費用だけではありません。
修理費用とは直接関係ないように思える費用でも、実は相手に請求できる損害があるのです。主なものをご紹介します。
- 代車費用
車の修理期間中に代車を使用した場合の代車使用料です。必要かつ相当と認められる範囲で、請求が可能です。 - レッカー費用
車が自力走行できなくなった場合の牽引費用です。ただし、あまりに長距離となる場合などは認められない可能性があります。 - 車両保管費用
修理工場に車を預けた際にかかる保管費用です。保管費用も必要かつ相当の範囲で認められるため、あまりに長期間におよぶと認められない可能性があります。 - 積載物損害
車両に積載していた物が損傷した場合の損害です。積載物の請求を希望される場合、損害状況を写真等で保存しておくとよいでしょう。
このほかにも評価損や、休車損害などの損害がありますが、詳しくは「交通事故被害で請求できる損害(物損・その他)」のページで説明していますので、気になる方はご覧ください。
まとめ
もらい事故にあった場合の修理から示談交渉に至る流れを説明してきましたが、特に注意しなければならないのは、示談してしまうと後戻りができないことです。
示談書には、通常、清算条項と呼ばれる条項が盛り込まれます。清算条項とは、当該示談で合意した賠償請求権以外の一切の請求権が、お互いに生じないことを確認する文言です。たとえば、示談書を取り交わしたあとにレッカー費用が請求できていないことに気づいても、清算条項を根拠に支払いを拒否されてしまうのです。
このように、もらい事故であっても、知らないうちに思わぬ損失を被ってしまうことがあります。
したがって、どのような流れで示談を進めればよいか、どのような費用を請求できるのか、疑問や不安のある方は、早めに交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、相談者の方・依頼者の方は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
また、通常、弁護士費用がこの上限額を超えた部分は自己負担となりますが、アディーレにご依頼いただく場合は、保険会社の上限を超えた分の弁護士費用は請求いたしません。
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- ※弁護士費用特約の利用を希望する場合は、必ず事前に加入の保険会社にその旨ご連絡ください(弁護士費用特約には利用条件があります)。
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