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交通事故による腰椎捻挫が治らない。適切な慰謝料を受け取るために被害者がすべきこととは?

交通事故にあって腰椎捻挫と診断され、治療を受けたものの、後遺症が残ってしまうことがあります。

ただし、適切な額の慰謝料などを受け取るには、どのような後遺症が「後遺障害」として認められるのか、慰謝料の相場はどのくらいか、を知っておくことが重要です。

今回は、腰椎捻挫の概要や適切な後遺障害が認定されるためのポイント、腰椎捻挫で請求できる慰謝料の相場などについて詳しく解説します。

この記事でわかること
  • 腰椎捻挫で認められる後遺障害等級
  • 腰椎捻挫で請求できる慰謝料の相場
  • 腰椎捻挫で適切な賠償金を受け取るためのポイント
目次

腰椎捻挫とは?

腰椎捻挫とは、交通事故などにより、腰部に外から強い圧力がかかることにより起こる腰部の捻挫で、腰の骨の周囲に炎症が起こり、腰痛を発症した状態を指します。
後方からの追突事故にあい、強い衝撃で首が鞭のように揺れた結果、むちうちを発症することはお聞きになったことがあるかもしれませんが、そのむちうちの症状が腰に出た場合に腰椎捻挫と診断されることがあります。

腰椎の位置の図

腰椎捻挫の症状

腰椎捻挫の主な症状は腰全体や背中の痛みです。
また、椎間板などの状態によっては、下肢の痛みやしびれなどを伴う場合があります。

腰椎捻挫で認定される可能性がある後遺障害等級

後遺障害とは、交通事故でケガを負ったあと、十分な治療をしたにもかかわらず、後遺症が残ってしまった場合にその症状の重さによって1~14の等級に分類したものです。
一定の治療を行っても、患部に痛みやしびれなどの症状が残ってしまった場合、「神経症状」として、後遺障害等級が認定されることがあります。

  • 12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
  • 14級9号「局部に神経症状を残すもの」

12級13号は、腰椎捻挫においては、MRIなどの画像上、脊髄や神経根を圧迫するような重度のヘルニアなどがあり、かつ、腱反射異常などの客観的な神経学的異常所見が認められ、それらと整合する痛み等の症状がある場合に認定されます。

14級9号は、画像上の異常は見られないものの、痛みやしびれなどの症状が強く残ってしまったことが医学的に説明可能な場合に認定されるといわれています。必ずしも客観的な検査結果によって症状が残ったことが立証されるといったところまでは必要とされないということになります。

腰椎捻挫で請求できる慰謝料の相場

腰椎捻挫で請求できる慰謝料としては、入通院慰謝料と、場合により後遺障害慰謝料があります。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

入通院慰謝料は、事故によってケガを負ってしまったことに対する慰謝料です。ケガの治療のために入院や通院をした期間をもとに計算されるため、入通院慰謝料と呼ばれます。
慰謝料を算定する基準は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判所基準)の3つがあります。
弁護士に依頼することで、3つの基準のうち一般に一番高額となる「弁護士基準」で算出した慰謝料を請求することができます。

なお、任意保険基準は、各保険会社がそれぞれ独自で定めており、一般に公表されていないため、その金額は不明ですが、自賠責保険基準に少し上乗せした金額であることが多いです。

例)

  • 治療期間(事故にあった日~治療が終わるまで)が6ヵ月
  • 入院はせず通院した日数が72日

自賠責保険基準の場合

自賠責保険基準による入通院慰謝料は「4,300円×入通院日数」で算出します。

【計算例】
入通院日数は①治療期間または②通院日数×2のいずれかの短いほうを採用する。
①治療期間は6ヵ月(180日と仮定)
②通院日数×2は72日×2=144日
となり、②の通院日数のほうが短いため
4,300円×144日=619,200円が入通院慰謝料となる。

弁護士基準の場合

交通事故のケガによる入通院慰謝料は、通院期間に応じた「損害賠償額算定基準」で定められています
縦軸が通院期間、横軸が入院期間を示している「別表Ⅰ」と「別表Ⅱ」をもとに算定することとされており、腰椎捻挫(他覚的所見なし)は「別表Ⅱ」を使用します。

【別表Ⅱ】

入通院慰謝料 別表2

【計算例】
入院せず、6ヵ月通院して完治した場合=89万円

自賠責保険基準と弁護士基準を比較すると、約27万円の差があります。
弁護士基準の金額で保険会社と示談を進めるためにも、弁護士に一度相談されることをおすすめします。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害が認定された際にその等級に応じて請求できる慰謝料です。
入通院慰謝料と同様に、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあり、通常、弁護士基準がもっとも高額になります。

腰椎捻挫で認定される可能性がある後遺障害について、自賠責保険基準と弁護士基準ではそれぞれ慰謝料がどのような金額になっているかをご紹介いたします。

後遺障害等級自賠責保険基準弁護士基準
12級94万円290万円
14級32万円110万円
  • 2020年4月1日以降の事故の場合

慰謝料以外にも請求できるお金がある

交通事故でケガをしてしまった場合、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料以外にも下記の賠償金を請求できます。

  • 休業損害(仕事を休んだことによって減少した収入の補填)
  • 入院中の雑費
  • 通院のための交通費
  • 逸失利益(後遺障害が残らなければ将来得られたはずの利益) など

これらの項目についても、弁護士に依頼することで、適切な金額を獲得することが期待できます。

腰椎捻挫で後遺障害等級が認定されるには?

腰椎捻挫で後遺障害等級が認定されるためには、下記のような条件を満たしていることが重要です。

  • 事故による衝撃が大きかったこと
  • 定期的に通院し治療していること
  • 症状に一貫性・連続性があること
  • 画像上の異常や神経学的な異常があること

詳しく説明していきます。

事故による衝撃が大きかったこと

後遺障害等級が認定されるためには、腰椎捻挫という後遺症が残るほど事故による衝撃が大きかったかという点が重要です。

たとえば、サイドミラーにかすり傷が残った程度の交通事故で、後遺症が残るほどの衝撃を受けたとは考えにくいでしょう。
このようなことから、後遺障害等級申請の際には、事故車両の破損の程度がわかる画像や修理の際の見積書などを添付することが多いです。

定期的に通院し治療していること

後遺障害等級が認められるためには、事故の直後から症状固定と医師に判断されるまで、病院に定期的に通院していることが必要とされているようです。
経験上、定期的に通院していない場合、後遺障害等級の認定で不利に扱われているように感じます。

事実、自賠責保険の認定理由においても、事故の態様などの要素とともに、「治療状況」を勘案して判断した、と記載されることが多いです。
なお、後遺障害等級の申請に必要な後遺障害診断書は医師のみが作成できるため、整骨院や接骨院だけでなく、整形外科などの病院で治療を続けることが大切です。

症状に一貫性・連続性があること

事故直後から症状固定までの期間において、症状が一貫しており、かつ連続していることも、後遺障害等級認定において重視されるポイントです。
症状の一貫性や連続性については、医師の作成する後遺障害診断書やカルテなどで証明することとなります。そのため、医師に症状について正確かつ具体的に伝え、診断書やカルテにきちんと記載してもらうことが必要です。

画像上の異常や神経学的な異常があること

既に一度触れたとおり、脊髄や神経根の圧迫があり、客観性の高い神経学的異常所見がある場合には、12級13号が認定される可能性がありますが、これには至らない画像上の異常や神経学的異常所見がある場合には、14級9号の認定に有利に働くことがあります。

脊髄や神経根の圧迫には至らない椎間板ヘルニアや、SLRテストなどの客観性の高くない神経学的異常所見が認められるにとどまる場合でも、痛みやしびれが残ったことについて、立証には至らずとも、医学的な説明がしやすくなるためです。

腰椎捻挫で適切な賠償金を受け取るためのポイント

適切な後遺障害等級の認定を受ける

後遺障害の等級に応じて、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が変わってくるため適切な後遺障害等級認定を受けることが大切です。
もし、腰椎捻挫以外のケガの後遺障害が認められた場合、腰椎捻挫の等級と併合されて等級が上がることもあります。
認定結果に納得がいかない場合、異議申立てをすることも可能です。

しかし、後遺障害等級認定の申請手続はさまざまな資料を必要とします。
また、資料に不足がないかどうかの判断には、法律的・医学的な専門知識も必要です。
そこで弁護士に依頼し、申請のサポートを受けることで適切な後遺障害等級認定の獲得を目指せます

弁護士基準で慰謝料を算定する

同じ後遺障害等級でも、採用する基準で慰謝料額が大きく変わってきます。
保険会社は自賠責保険基準もしくは独自の基準で算定した金額を提示してくることが多く、裁判をしたならば認められる弁護士基準(裁判所基準)で請求することにより、最終的な賠償金を増額できる可能性が高いです。

そのため、すぐに示談せず、交通事故に詳しい弁護士に一度相談されることをおすすめします。

交通事故による腰椎捻挫についてよくある質問

Q:腰椎捻挫の治療期間はどのくらいですか?

症状により異なります。軽度の場合には1~3ヵ月ほどですが、重度の場合には4~6ヵ月かかる場合やそれ以上かかる場合もあります。

Q:腰椎捻挫の場合に行われる神経学的検査にはどんなものがありますか?

腰椎捻挫などで、足に痛みやしびれなどの症状がある場合に実施される神経学的検査としては、SLRテストやFNSテストなどがあります。

SLRテスト

患者が仰向けになり膝を伸ばした状態で、検者(医師・理学療法士)が片方ずつ足を持ち上げる検査です。
痛みで足が一定以上に上がらない場合には坐骨神経の障害が疑われます。
下肢伸展挙上テスト(Straight leg raise)の略です。

FNSテスト

患者がうつ伏せになり股関節を伸ばした状態で膝を曲げる検査です。
太ももの前面に痛みやしびれを感じた場合には大腿神経の障害が疑われます。
大腿神経伸長テスト(Femoral Nerve Stretching Test)の略です。

弁護士に相談すべき最適なタイミングは?

なるべく早い段階で交通事故の被害に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
示談成立前であればいつでも弁護士に相談いただけます。

事故発生→治療→完治・症状固定→後遺障害等級の認定→示談交渉→示談成立もしくは示談決裂→裁判→賠償金受取り

上記の図を見ていただくとわかるとおり、ご相談のタイミングが早ければ早いほど、被害者の方の負担を減らすことができます

  • より多くの期間、弁護士のサポートを受けることが可能
  • 賠償金減額の原因となる行動などを避けられる

当事務所で腰椎捻挫の賠償金が増額したケース

■解決事例1
Jさん(男性・40代・会社員)
弁護士依頼前 約149万円 ⇒ 弁護士依頼後 約341万円
後遺障害等級:14級
傷病名:腰椎捻挫、右下肢痛

赤信号で停止中に後続車両に追突された被害者の方。弁護士が将来における腰痛の影響を主張し交渉した結果、保険会社の最初の提示額から約200万円の増額に成功しました。

■解決事例2
Hさん(男性・30代・会社員)
弁護士依頼前 約132万円 ⇒ 弁護士依頼後 約290万円
後遺障害等級:14級
傷病名:腰椎捻挫、左足関節捻挫

自転車で横断歩道を走行中に左折してきた車両に衝突された被害者の方。弁護士が被害者の方の精神的苦痛の大きさを主張し交渉した結果、最終的な賠償金が150万円増額しました。

まとめ

腰椎捻挫で適切な額の賠償金を受け取るには、定期的な整形外科への通院や必要な検査を受けること、適切な後遺障害等級が認定されること、といったポイントがあります。
また、交通事故の示談交渉は、通常、事故の加害者が加入する保険会社と行うことになりますが、保険会社は交渉のプロであり、被害者ご自身で交渉を行うのは容易ではないでしょう。
お一人で悩まず、交通事故に詳しい弁護士への相談を検討されることをおすすめします。

交通事故の被害はアディーレにご相談ください

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
弁護士費用特約を利用する方の場合は、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われます。
また、通常は弁護士費用が保険会社の上限額を超えた部分は自己負担となりますが、アディーレにご依頼いただく場合は、保険会社の上限を超えた分の弁護士費用は請求いたしません
そのため、お手元からのお支払いはないため、安心してご依頼いただけます。

  • 弁護士費用特約の利用を希望する場合は、必ず事前に加入の保険会社にその旨ご連絡ください(弁護士費用特約には利用条件があります)。

弁護士費用特約が付いていない方でも、アディーレ独自の「損はさせない保証」により、保険会社提示額からの増加額より弁護士費用が高い場合は不足分の弁護士費用はいただかないことをお約束します。(※)
また、アディーレへのお支払いは獲得した賠償金からお支払いいただく「成功報酬制です。(※)
お手元からのお支払いはないため、弁護士費用特約が付いていない方でも安心してご依頼いただけます。

  • 委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いいただきます。

交通事故被害でお困りの方は、ぜひお気軽にアディーレ法律事務所にお問合せください。

この記事の監修者
石田 周平

アディーレ法律事務所

弁護士 石田 周平(いしだ しゅうへい)
資格:弁護士,行政書士(未登録)
所属:東京弁護士会
出身大学:神戸学院大学法学部,早稲田大学法科大学院
私は入所以来、一貫して交通事故を集中して取り扱う部署に在籍しており、近年は、案件に加えて新入所の弁護士を対象とした交通事故事件についての研修なども担当しています。
交通事故の被害にあってしまった方が適正な賠償金を得られるよう尽力しつつ、「少しでも事故前の状態に近い生活に戻っていただくために弁護士としてできることは何か」を考えるよう心がけています。