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交通事故でヘルニアを発症したときの慰謝料の相場と後遺障害等級の認定方法

[ 公開日:2021/11/11 ] [ 更新日:2022/09/01 ]
交通事故で腰や頸椎に強い衝撃を受けた場合、むち打ち症や椎間板ヘルニアと診断されることがあります。

ただし、椎間板ヘルニアは、経年変化や、繰り返し椎間板に負担がかかり続けることによっても発症します。そのため、その症状が、交通事故を原因とするのか、それとも経年変化によるものなのか、争いとなることがあります。

そして、経年変化だと判断された場合、治療の必要性を否定されたり、後遺障害を否認されたり、素因減額を主張されたりするなど、影響は多岐におよびます。

そこで、今回は椎間板ヘルニアを負ってしまった場合の注意点を、慰謝料の相場および後遺障害等級認定に焦点を当てて説明いたします。
この記事でわかること
  • ヘルニアで請求できる後遺症慰謝料の相場
  • ヘルニアにより認められうる後遺障害の等級
  • ヘルニアによる慰謝料請求で知っておくべきこと
目次

椎間板ヘルニアの症状と治療について

ヘルニアとは、体内のある臓器が本来あるべき位置から脱出してしまった状態をいいます。このうち、背骨のクッションである椎間板に生じたものが「椎間板ヘルニア」です。椎間板ヘルニアは、椎間板への強い圧力によって発症します。

交通事故によって腰や頸椎に強い衝撃を受けた場合、頸椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアと診断されることがあります。

ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状としては、腰痛、脚の痛みやしびれなどが考えられ、さらに重症化すると、感覚が失われることもあります。これらは、神経根が圧迫されることにより生じるものです。椎間板ヘルニアには、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアがあります。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアの主な症状としては、首や肩、腕に痛みやしびれなどをもたらす神経根の障害があり、足のもつれ、歩行障害などをもたらす脊髄の障害が生じることもあります。
これらの症状は、頚椎と頚椎の間をつなぐクッションとしての役割を担う椎間板が外に飛び出してしまい、神経根や脊髄を圧迫することが原因です。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは腰椎の椎間板で生じたヘルニアのことで、主な症状としては、腰痛をはじめ、下半身や臀部の痛みとしびれ、足がうまく動かせなくなる運動麻痺などがあります。
腰椎椎間板ヘルニアも、頚椎椎間板ヘルニアと同様に、神経根や脊髄を圧迫することが原因とされています。

ヘルニアの治療方法

ヘルニアの治療方法は、主に保存療法とされています。コルセットをつけて体の動きを制限して炎症を抑える治療や、消炎鎮痛剤の内服や神経ブロック注射により痛みをやわらげる治療です。
整形外科医の指導のもと適切に治療して、完治することも多いですが、なかには後遺障害が残ってしまうことがあります。

ヘルニアが完治しなかった場合の手続と慰謝料の相場

ここからは、完治せずに後遺障害が残ってしまった場合の手続と賠償金について、ご説明します。

後遺障害等級認定の申請をする

交通事故で後遺症が残ってしまった場合、自賠責保険を通じて、損害保険料率算出機構に対して、後遺障害の申請をすることができます。

損害保険料率算出機構から「後遺障害に該当する」と判断され、後遺障害等級が認定されると、後遺症慰謝料などの後遺障害に関する損害を加害者側へ請求することができます。

 

ヘルニアが後遺障害と認定された場合の後遺障害等級

ヘルニアが後遺障害として認定された場合の等級と考えられるのは、次の2つです。

  1. 後遺障害等級14級9号  局部に神経症状を残すもの
  2. 後遺障害等級12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの

下記に、それぞれの等級の内容を簡単に説明いたします。

後遺障害等級14級9号

「局部に神経症状を残すもの」と認められるためには、障害の存在が医学的に説明可能なものであることが必要ですが、他覚所見は必要ありません。
そのため、他覚的所見が認められなかったとしても後遺障害として認定される可能性があります。認定可否の判断は、事故状況、治療経過、症状経過の3点を総合考慮して審査され、事故の大きさを示す物損の被害状況や、通院頻度なども判断に影響を与えます。

 

後遺障害等級12級13号

「局部に頑固な神経症状を残す場合」とは、一般的に障害の存在が医学的(ないしは他覚的)に証明できる状態をいいます。自覚症状だけでは不足であり、この点が後遺障害等級14級と異なります。たとえば、MRI画像から神経系統の障害を確認できる所見が認められるなど、他人(通常は、医師)の目から見て、その症状および原因が確認・判断できることが必要とされます。

 

ヘルニアで後遺障害が残った場合の後遺症慰謝料の相場

後遺障害が認定された場合に請求できるものの一つとして、後遺症慰謝料があります。後遺症慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する損害のことです。後遺障害の等級に応じた賠償金額を請求することができます。

後遺症慰謝料の算定基準は、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「裁判所基準」の3つがあり、基準ごとに受け取る賠償金額が異なります。このなかで、もっとも高額となるのが裁判所基準です。

後遺障害慰謝料

等級自賠責保険基準 裁判所基準
第12級 94万円290万円
第14級 32万円110万円

自賠責保険基準と裁判所基準とを比較した場合、3倍以上の差があります。
また、ヘルニアによる後遺障害として考えられる後遺障害等級14級と後遺障害等級12級を等級ごとに裁判所基準で比較した場合、 180万円もの差額があるのです。

裁判所基準は、裁判や弁護士が代理人として交渉する際に認められるものですから、被害者ご自身が加害者側の保険会社と直接交渉したとしても、裁判を前提とした交渉ではないことを理由に拒否されてしまうことが多いです。
したがって、「裁判所基準」で後遺症慰謝料を請求していく場合は、弁護士に相談されることをおすすめいたします。

なお、後遺障害が認定された場合に請求できるものとしては、後遺症慰謝料のほかに、入通院慰謝料や休業損害、逸失利益なども請求することができます。

後遺障害の認定を受けるためのポイント

後遺障害は、損害保険料率算出機構を通じて判断されることになりますが、認定のためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、特に重要な2つのポイントをご説明します。

 

事故当初に自覚症状をきちんと伝える

被害者の方のなかには、交通事故を大ごとにしたくないなどの理由から、痛みなどの症状をきちんと申告しない方がいらっしゃいます。
もし、事故から日にちが経ってから症状を申告した場合、事故当初に症状を訴えていなかったことを理由に、「事故が原因ではない」と判断されてしまうことがあります。事故直後の不安定な精神状態のときに大変だとは思いますが、症状をきちんと伝えるようにしましょう。
また、後遺障害の認定においては、事故当初から症状が一貫している点も重要ですので、医師にきちんと自覚症状を伝えることが大切です。

後遺障害診断書は正確に書いてもらう

後遺障害の申請手続の際には、後遺障害診断書を提出します。後遺障害診断書の記載をもとに、後遺障害の調査が行われるため、後遺障害等級の認定可否を左右する、重要な書類といえます。
このように、後遺障害診断書は重要書類ですから、医師に正確に記載してもらうことが大切です。そのためには、治療中から治療終了まで定期的に通院をすることと、医師に自覚症状をしっかり伝えることが重要です。

 

ヘルニアによる慰謝料請求で示談交渉がうまくいかないときは?

椎間板ヘルニアは、日々の生活の中で椎間板への負担が積み重なって発症することもあります。そのため、問題となっている症状が、「本当に交通事故によって発生したものであるか」というように、交通事故との因果関係を疑われることがあります。

治療の打切りを打診されるケース

交通事故によるケガの治療をする場合、通常、加害者側の保険会社に治療費を支払ってもらうことができます。
しかし、ヘルニアが事故前から有していた既往症だと判断された場合、加害者側の保険会社に、「治療費の支払いを打ち切ります。今後の治療費は支払いません」と言われてしまうことがあります。つまり、「交通事故によるケガの治療は終了した。以降の治療は既往症の治療であり、交通事故によるケガの治療ではないため、治療費を払う必要は認めない」と主張されてしまうのです。

この場合、治療費の支払いを継続してもらうよう加害者側の保険会社と交渉するか、治療費を自己負担して通院しなければなりません。このとき、加害者側の保険会社の申し出を安易に了承するのではなく、医師に相談することが肝要です。そして、医師がまだ治療が必要だと判断している場合には、その旨を加害者側の保険会社に伝え、治療費の支払いを継続してもらうよう依頼しましょう。

経年性や持病の疑いから「素因減額」を主張されるケース

椎間板ヘルニアは、日々の生活の中で椎間板への負担が積み重なり発症することがあります。この場合、加害者側の保険会社から「素因減額」を主張されることがあります。

素因減額とは、被害者の素因(事故前から有していた既往症、身体的特徴など)が、交通事故による損害の発生に寄与して損害を拡大した場合に、損害の公平分担の観点から、損害賠償額を何割か減額することをいいます。

素因減額は明確に基準が決まっているわけではなく、素因減額されるべきであるか、その割合はどの程度が妥当であるかの判断は非常に難しく、専門的な知識を必要とします。
そのため、加害者側の保険会社から素因減額を主張された場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

ヘルニアによる慰謝料請求、後遺障害の申請は弁護士に依頼するのがおすすめ

これまでのことからお分かりになるように、ヘルニアによる慰謝料請求や、後遺障害の申請には、専門的な知識が要求されます。加害者側の保険会社に言われるがまま対応していると、不測の不利益を被ってしまう可能性があります。
ここでは、弁護士に依頼することで、どのようなメリットを得られるのか、についてご紹介します。

 

裁判所基準による慰謝料請求が可能

弁護士に依頼することによって、裁判所基準による慰謝料金額の交渉ができるようになります。これにより、保険会社の提示してきた金額よりも大幅に増額できる可能性があります。

適正な賠償金を受け取ることが期待できる

たとえば、素因減額を主張された場合、素因減額すること自体が適切なのか、素因減額が必要な場合その割合は妥当であるのかなど、交通事故に詳しい弁護士が精査します。そのため、適切な賠償金を受け取ることが期待できるのです。

煩雑な手続を任せることができる

後遺障害の申請をするにあたっては、さまざまな資料を提出しなければならず、普段慣れない方が行うと、とても煩雑に感じるものです。弁護士にご依頼いただければ、このような面倒な申請手続も代理で行いますので、手続に関するストレスがなくなります。

なお、弁護士への相談や依頼を検討されている方のなかには、弁護士費用を気にされてなかなか踏み出せないという方もいらっしゃることでしょう。実は、自動車の保険契約のなかには、弁護士費用特約という特約があります。この特約は、弁護士に依頼した際の弁護士報酬を支払ってくれる保険です。
もし、弁護士費用特約をつけていて、弁護士費用特約を利用することができれば、被害者ご自身は金銭的な負担をすることなく、弁護士に依頼することができます。ぜひご自身の保険契約内容を確認してみてください。

弁護士費用特約が付いている場合の弁護士費用

まとめ

いかがでしたか?
ご紹介したように、交通事故による後遺症としてのヘルニアに関しては争いが生じることが多く、加害者側の保険会社との交渉が比較的難しい傷病といえます。
また、交渉には専門的な知識が必要ですし、保険会社の営業時間である平日の日中に対応する必要があり、被害者ご自身が対応することは、とても大きな負担となるかと思います。
複雑な手続や煩わしい加害者側の保険会社とのやり取りを回避するためにも、交通事故に強い弁護士に相談されることをおすすめします。アディーレへの交通事故被害に関するご相談は、何度でも無料です。

 

この記事の監修者
村松 優子
弁護士 村松 優子(むらまつ ゆうこ)
資格: 弁護士
所属:愛知県弁護士会
出身大学:愛知大学法学部

私は,司法試験を目指した当初から,親しみやすい法律家になりたいと考えていました。それは,私自身が弁護士に対して,なんとなく敷居が高そうというイメージを抱いていたからです。私は,司法試験に合格した後,学生時代の友人から,合格しても何にも変わらないね,安心したと言われました。弁護士になった後も,昔と変わらないねと言われ続けたいです。私は,ただすこし法律を勉強しただけで,そのほかは普通の人と何ら変わりはありません。なので,どんなことでも気軽に相談してください。

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