休業損害証明書とは?書き方や注意点、書いてもらえない場合の対処法も紹介

休業損害証明書は、交通事故により仕事を休んだ結果、収入が減ったことを証明する書類です。
給与所得者が休業損害を請求する際に必要となりますが、被害者自身ではなく勤務先に書いてもらう書類です。
この記事では、休業損害証明書の書き方や記載事項について詳しく解説します。
また、勤務先に休業損害証明書を書いてもらえない場合の対処法や提出前のチェックポイントなどについても説明します。
- この記事でわかること
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- 休業損害証明書の書き方と記入例
- 休業損害証明書を記入する際の注意点
- 休業損害証明書を書いてもらえないときの対処法
- 目次
休業損害証明書とは?
休業損害証明書とは、交通事故によるケガで仕事を休み、その影響で減った収入を証明するための書類です。
会社員などの給与所得者が、加害者側の保険会社に休業損害を請求する際に必要不可欠なもので、正確な記載が求められます。
休業損害証明書は誰が作成する?
休業損害証明書は、通常、被害者の勤務先の担当者に作成を依頼します。派遣社員の方の場合は、派遣元の会社に依頼してください。
休業損害証明書の書き方と記入例
休業損害証明書の書き方と記入例をご紹介します。
<記入例>

記載事項

それぞれの記載事項について、記入する内容と注意点を記載します。
①被害者の氏名など
交通事故で休業した者の「職種・役職」、「氏名」、「採用日」を記載します。

②休業期間と内訳
交通事故を原因とする「休業開始日」と「休業終了日」を記載します。
また、欠勤、遅刻・早退した回数も記載します。

③3ヵ月間の勤怠状況
②で申告した内容を、記号を使用して一覧表に記入します。

④休んだ期間の給与支給の状況
休業日に給与を支給したかどうかについて記載します。
欠勤や遅刻、早退した場合にも給与を支給した場合には、支給額とその金額の計算方法を記載します。

⑤事故前3ヵ月の支給された給与額
事故前の直近3ヵ月の給与を記載します。
事故前の直近3ヵ月の給与とは、たとえば、給与が毎月末日締めで、4月25日に交通事故にあった場合、1月、2月、3月の給与を指します。
記入欄は、「稼働日数」、「支給金額」、「社会保険料」、「所得税」、「差引支給額」に分けられており、支給金額については、本給と付加給(時間外勤務手当や通勤手当、皆勤手当など)に分けて記入します。

⑥社会保険や労災保険からの給付の有無
労災保険から休業補償を受けている場合や健康保険から傷病手当を受けている場合に記載します。
ほかの保険から補償を受けている場合、休業損害との損益相殺の対象となります。
これは、いわゆる2重取りを防ぐためです。

【関連コラム】
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⑦記入日、勤務先の情報、社印など
記入日、会社名、会社の所在地など記載します。法人の場合には法人の印鑑が必要です。

休業損害証明書のひな形の入手方法
加害者側保険会社から白紙の「休業損害証明書」が送られてくるのが通常です。用紙を受け取ったら、勤務先に提出して作成を依頼してください。
また、多くの保険会社では、自社のWebサイトに無料でダウンロードできるひな形を掲載していますので、そちらを印刷してもよいでしょう。
なお、「休業損害証明書」1枚に記載できる休業状況は3ヵ月分ですので、3ヵ月以上休業した場合は送られてきた用紙をコピーして使用することが可能です。
休業損害証明書を記載する際の注意点
嘘を書くとペナルティが課せられる
休業した日数や事故前の収入を水増しして書いた場合、保険会社にばれる可能性が高いです。
保険会社は、勤務先への内容照会や源泉徴収票のチェックなどを行って、提出した書類の内容に誤りがないかを確かめるからです。
本来よりも多額の休業損害を受け取ろうとしたことが保険会社にばれると、詐欺罪(もしくは詐欺未遂罪)などの犯罪行為として訴えられる可能性があります。
訴えられなかったとしても、その後の加害者側の保険会社との示談交渉が難しくなるのは明らかです。
休業損害証明書に嘘の内容を記載することはやめましょう。
自分で記入しない
休業損害証明書は勤務先の担当者に書いてもらうべき書類です。
「頼みづらいから」と被害者の方ご自身書いてしまった場合、内容が正しくても不正になります。
その場合、休業損害が受け取れなくなってしまうことがあるため、勤務先の担当者に理由を話して書いてもらうようにしましょう。
提出前に確認するべきポイント
休業損害をスムーズに受け取るために、下記のポイントをチェックしてから保険会社に提出しましょう。
- 前年度の源泉徴収票を貼ったか(提出を求められた場合)
- 休業期間の記載は正しいか
- 欠勤・有給休暇・遅刻・早退の記載は正しいか
- カレンダーが正確に埋められているか
- 休んだ期間の給与の記載は正しいか
- 事故前3ヵ月に支給された給与額の記載は正しいか
- 必要事項の記載漏れや押印漏れはないか
休業損害の請求で必要となるその他の書類
給与所得者が休業損害を請求する場合、休業損害証明書に加えて事故前年度の源泉徴収票が必要です。
手元にない場合には、経理の担当者などに問い合わせれば再発行してもらうことも可能です。
就職してまだ日が浅いなどで用意できない場合には、事故前3ヵ月間の賃金台帳の写し、雇用契約書、所得証明書などを提出します。
休業損害証明書を書いてもらえない場合はどうする?
①記入例を見せて書いてもらう
勤務先の担当者が「書き方を知らないので書けない」と言う場合には、保険会社のWebサイトに掲載されている記入例などを見せることで解決できるかもしれません。
また、休業損害証明書の必要性をきちんと説明することも大切です。
上記の対応でも書いてもらえない場合には、弁護士などに相談してアドバイスを受けるのが得策です。
②弁護士に相談する
被害者の方が勤務先に作成を依頼しても応じない場合には、弁護士を通じて作成を求めてもらうことも一案です。
③休業損害証明書の代わりになるものを提出する
弁護士を通じて作成依頼しても休業損害証明書を書いてもらえない場合には、ほかの書類で代用します。
収入と休業期間を証明できる給与明細書やタイムカードなど、休業損害証明書の代わりになるものを提出することで対応できますので、ご安心ください。
休業損害の請求でお困りなら弁護士に相談
休業損害は、金額や期間の算定を巡って加害者側ともめることが多い項目です。
そのため、休業損害の請求についてお困りの方は、交通事故に詳しい弁護士のアドバイスを受けたうえで、適切な請求を行いましょう。
弁護士に相談することで下記のようなサポートを受けられます。
書類作成について会社に交渉してくれる
弁護士は、法的な立場から勤務先に対して的確な説明を行い、被害者の方に代わって休業損害証明書の作成を会社に要請してもらうことが可能です。
ほかの証拠書類に関するアドバイスがもらえる
請求に必要なほかの証拠書類や、証拠として有効な情報についての専門的なアドバイスを受けることができます。
休業損害以外でも増額の可能性あり
弁護士に依頼すれば、休業損害だけでなく、慰謝料や逸失利益といったほかの損害賠償金額の増加も見込める可能性があります。
ぜひ一度弁護士への相談をご検討ください。
まとめ
交通事故による休業損害の請求には、正確に作成された休業損害証明書が必須です。
休業損害証明書は、収入や損害を明示するのに重要な書類であり、記載内容に誤りがないよう注意深く作成する必要があります。
また、被害者の方のなかには、「勤務先が作成に協力してくれない」、「書類の内容が正しいのか不安がある」、といった方もいらっしゃるでしょう。
弁護士であれば、書類作成のサポートやほかの証拠書類についてアドバイスすることが可能です。
休業損害を含むすべての損害について適切な賠償金を受け取るためにも、ぜひ交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。
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