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足首骨折で認められる後遺障害等級と慰謝料・逸失利益について

自転車・バイクでの走行中や歩行中に交通事故にあって転倒した場合、足首を骨折してしまうことがあります。
そして、そのようなケガがもとで痛みなどの症状が残ってしまうと、現在だけでなく将来的にも日常生活に支障が出る恐れがあります。

そこで今回は、足首の骨折によって後遺症が残った場合に認定され得る後遺障害等級とその賠償金額について、ぜひ知っておきたいポイントをお伝えします。

この記事でわかること
  • 足首骨折で認められる後遺障害の種類
  • 足首骨折で受け取れる後遺障害慰謝料と逸失利益の相場
  • 足首骨折で適切な賠償金を受け取るためのポイント
目次

足首骨折の症状

足首を骨折した場合、足首が骨癒合(骨折の治癒)し、かつ症状が固定したあとも、足首の関節の可動域が制限されたままになってしまったり、また、足首に痛みが残存してしまったりすることがあります。

足首骨折による後遺症が残った場合に認定され得る後遺障害とは

治療をしてもこれ以上よくならない状態になったとして「症状固定」と判断される場合があります。
症状固定と判断された場合には、症状の程度などによって、後遺障害の申請をするかどうか検討することになります。

後遺障害は、症状の内容や程度などにより、1級から14級までの等級に分けられ、1級が一番重い等級として規定されています。
足首骨折による主な後遺障害として、「機能障害」と「神経障害」の2つがあります。それぞれについて見ていきます。

機能障害

機能障害としては、以下の後遺障害等級が認められる可能性があります。

  • 8級7号(1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの)
    片方の足首の関節が強直する等して動かなくなった状態
  • 10級11号(1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの)
    足首の関節の可動域が、健常な関節の可動域の1/2以下になった状態
  • 12級7号(1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)
    足首の関節の可動域が、健常な関節の可動域の3/4以下になった状態

神経障害

神経障害としては、以下の後遺障害等級が認められる可能性があります。

  • 12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
    足首に痛みやしびれ等があり、その原因がX線、CT、MRI画像等により証明できる場合
  • 14級9号(局部に神経症状を残すもの)
    足首に痛みやしびれ等があり、その原因が医学的に説明できる場合

足首骨折による後遺障害慰謝料の相場

後遺障害が認められた場合、等級に応じて「後遺障害慰謝料」を請求できます。
慰謝料の算出には下記の3つの基準があります。

  1. 自賠責保険基準
  2. 任意保険基準
  3. 弁護士基準(裁判所基準)

一般的に、このなかでもっとも金額が高くなるのは、3つ目の弁護士基準です。

足首骨折による後遺障害等級が認められた場合の慰謝料額は以下の通りです。

後遺障害等級自賠責保険基準弁護士基準
8級7号331万円 (324万円)830万円
10級11号190万円 (187万円)550万円
12級7号・13号 94万円 (93万円)290万円
14級9号32万円110万円
  • ()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合

被害者の方が弁護士に依頼した場合、弁護士基準で慰謝料を算定することができるので慰謝料の増額が期待できます

足首骨折による逸失利益の金額と計算方法

逸失利益とは、交通事故による後遺障害がなければ、得られたはずの収入のことです。
逸失利益の金額は、以下の方法で計算します。

1基礎収入 × 2労働能力喪失率 × 3労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 = 逸失利益の金額

1 基礎収入とは?

交通事故にあう前に実際に得ていた収入のことです。

事故当時学生である場合など、実際の収入が賃金センサス(厚生労働省が発表している日本の賃金に関する統計のこと)における平均賃金以下であるものの、平均賃金が得られる見込みの確実性が高い場合には賃金センサスに基づく平均賃金を基礎収入とすることがあります。

2 労働能力喪失率とは?

労働能力の低下の程度のことです。この喪失率は、労働能力喪失率表(後遺障害の等級ごとに一定の割合が定められています)の割合を用いるのが一般的です。

3 労働能力喪失期間とは?

症状固定日から労働能力が制限される期間のことをいいます。
ライプニッツ係数とは、中間利息を控除した係数のことです。

過去の判例を基に、67歳まで就労が可能とされているので、症状固定日から67歳までの期間が対象となりますが、後遺障害の程度などによって期間が異なるため注意が必要です。

ワンポイント 中間利息控除計算の係数について
ライプニッツ係数とは、将来に発生しているであろう利息を控除した金額を計算するためのものです。
逸失利益として受け取れるのは、利息分を控除した分となります。

労働能力喪失期間(原則として症状固定日から67歳までの期間)に対応するライプニッツ係数とは、中間利息を控除するための係数をいいます。すなわち、逸失利益は、後遺症のない通常の将来において、後遺症が残存していることにより得ることができなくなった利益であり、かつ将来継続的に発生する損害のことです。

そして、その賠償金は、実際に損害の発生する前に一時金として支払われます。

逸失利益の具体的な計算例

足首の骨折で後遺障害が認められた場合は、等級に応じた下記の労働喪失率が用いられるのが原則です。

後遺障害等級労働喪失率
8級7号45%
10級11号27%
12級7号・13号14%
14級9号 5%

それでは、実際にどの程度の金額となるのか、下記の例を計算してみましょう。

<ケース1>12級7号が認定された、宅配運送会社勤務の男性(症状固定時47歳、事故前年度の年収500万円)

後遺障害等級12級7号を認定された宅配運送会社勤務の男性というケースで逸失利益を計算すると、以下のようになります。

基礎収入(500万円)×労働能力喪失率(14%)×労働能力喪失期間(20年)に対応するライプニッツ係数(14.8775)=1,041万4,250円

労働能力喪失期間が20年の場合、そのライプニッツ係数(※)は14.8775とされています。単純に年数の20を掛けるのではなく、あらかじめ中間利息を控除するために14.8775を掛けることになります。

  • 2020年4月1日以降の事故に対応するライプニッツ係数を採用しています。

<ケース2>8級7号が認められた専業主婦の女性(症状固定時37歳、収入なし)

後遺障害等級8級7号を認定された専業主婦の女性というケースで逸失利益を計算すると、以下のようになります。

基礎収入(388万100円)×労働能力喪失率(45%)×労働能力喪失期間(30年)に対応するライプニッツ係数(19.6004)=3,422万3,180円

  • 専業主婦は収入が存在しないことから、基礎収入を令和元年の女性平均賃金を採用しております。

労働能力喪失期間が30年の場合、そのライプニッツ係数(※)は19.6004とされています。単純に年数の30を掛けるのではなく、あらかじめ中間利息を控除するために19.6004をかけることになります。

  • 2020年4月1日以降の事故に対応するライプニッツ係数を採用しています。

逸失利益の交渉は争いになりやすい?

ただし、逸失利益については、基礎収入の捉え方や実際の労働納能力喪失率および労働能力喪失期間がどれくらいになるかという点に関して争いになることが少なくないため、計算上の金額に届かない場合もあります。

ご紹介したケースであれば、足首の骨折が仕事に影響するであろうことは容易に想像ができるため、そのような問題になることは少ないと思いますが、足首についての逸失利益を受け取るためには、自己の職種やどのような作業の際にどんな支障が生じるのか、減収の蓋然性等について、説得力のある主張が大切になります

足首骨折で適切な賠償金を受け取るためのポイント

適切な賠償金を受け取るために覚えておきたいポイントをご紹介します。

弁護士基準で慰謝料を算定する

同じ後遺障害等級でも、採用する基準で慰謝料額が大きく変わってきます。
保険会社は自賠責保険基準もしくは独自の基準で算定した金額を提示してくることが多く、裁判をしたならば認められる弁護士基準(裁判所基準)で請求することにより、最終的な賠償金を増額できる可能性が高いです

3つの基準による一般的な慰謝料額のイメージ 自賠責保険の基準<任意保険の基準<弁護士の基準

そのため、すぐに示談せず、交通事故に詳しい弁護士に一度相談されることをおすすめします

適切な後遺障害等級の認定を受ける

後遺障害の等級に応じて、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が変わってくるため適切な後遺障害等級認定を受けることが大切です。

もし、足首骨折以外のケガの後遺障害が認められた場合、足首骨折の等級と併合されて等級が上がることもあります。
認定結果に納得がいかない場合、異議申立てをすることも可能です。

しかし、後遺障害等級認定の申請手続はさまざまな資料を必要とします。
また、資料に不足がないかどうかの判断には、法律的・医学的な専門知識も必要です。

そこで弁護士に依頼し、申請のサポートを受けることで適切な後遺障害等級認定の獲得を目指せます

まとめ

このように、足首の骨折による後遺障害等級の認定を受けたうえで適切な賠償金額の支払いを受けるためには、効果的な資料を収集・提出して、適切な主張を行う必要があります。

適切な賠償金を受け取ることは、交通事故被害者の方の今後の生活を支えるために非常に重要です。
ぜひ交通事故に詳しい弁護士に示談交渉を依頼し、適切な賠償金を受け取っていただければと思います。

交通事故の被害はアディーレにご相談ください

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

弁護士費用特約が付いていない方は、アディーレ独自の「損はさせない保証」により、保険会社提示額からの増加額より弁護士費用が高い場合は不足分の弁護士費用はいただかないことをお約束します。(※)
また、アディーレへのお支払いは獲得した賠償金からお支払いいただく「成功報酬制です。(※)お手元からのお支払いはないため、弁護士費用特約が付いていない方でも安心してご依頼いただけます。

  • 委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いいただきます。

弁護士費用特約を利用する方の場合は、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはり相談者の方・依頼者の方に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
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また、通常、弁護士費用がこの上限額を超えた部分は自己負担となりますが、アディーレにご依頼いただく場合は、保険会社の上限を超えた分の弁護士費用は請求いたしません
お手元からのお支払いはないため、安心してご依頼いただけます

  • 弁護士費用特約の利用を希望する場合は、必ず事前に加入の保険会社にその旨ご連絡ください(弁護士費用特約には利用条件があります)。
この記事の監修者
御堂地 雅人

アディーレ法律事務所

弁護士 御堂地 雅人(みどうち まさと)
資格:弁護士,東京都ヘブンアーティスト
所属:東京弁護士会
出身大学:早稲田大学教育学部
「事故により休業を余儀なくされて困っている」、「加害者側の態度に傷ついた」、「重い後遺症に苦しんでいる」など、交通事故の被害者の方が抱えるお悩み・苦悩はさまざまです。私は、このような被害者の方の立場に自分の身を置き換えたうえで、どのような苦悩があり、弁護士に何を求めたいかを想像しつつ、日々事件解決に尽力しております。本コラムが読者の皆さまの交通事故事件解決に役立つものとなれば幸いです。