自己判断は禁物!打撲での慰謝料請求でやるべきこと、知っておくべきこと

交通事故での打撲や擦り傷は、「痛みがないからたいしたケガではない」と自己判断して、放っておきがちです。
しかし、見た目には軽微な傷でも、後遺症につながる重大な疾患が隠れていることがあり、適切に対応しなかった場合、のちのち不利益となる可能性があります。
そこで、この記事では、注意するべき自己判断しがちなケースを紹介します。
そして、打撲による慰謝料請求のために知っておくべきことや事故直後からやるべきことを詳しく解説します。
適切な対応をするために、ぜひご一読ください。
- この記事でわかること
-
- 交通事故での打撲などの軽傷でも自己判断が禁物な理由
- 通院している場合の慰謝料の相場
- 後遺障害が認められた場合の慰謝料相場
- 目次
軽傷と自己判断しがちなケースとは?
交通事故の被害で軽傷と自己判断しがちなケースとしては、下記のようなものがあります。
- 車と車が衝突した際に車が速度をあまり出していなかった場合
- こちらが歩行者で車があまり速度を出していなかった場合
- 自転車やバイクを運転していて転倒し、打撲やかすり傷程度の傷で済んだ場合
このような骨折にはいたらない打撲やかすり傷の場合、「軽傷」と自己判断して病院に通院しないでいたり、病院に行ったりしたとしても「全治2週間」と診断され、病状が軽いから慰謝料なんてもらえないだろう、と判断してしまいがちです。
軽傷でもやるべきこと、知っておくべきこと
交通事故は車と接触していますので、自己判断で通院しないでいた場合、後々、不利益を被る場合があります。ここでは、たいしたことはないと思った場合でも、やるべきこと、および知っておくべきことについてご説明いたします。
事故後すぐに病院に行くこと
交通事故にあい、打撲や擦り傷などを負ったに過ぎない場合であっても、また自分で痛みを感じなくても、必ず病院に行きましょう。できれば交通事故の当日、少なくとも翌日には必ず受診するようにしましょう。
「目立ったケガや痛みがないから大丈夫」、とご自分で判断することはとても危険です。交通事故の被害は、しばらく経ってから痛みが出るケースも多いです。数日後に痛みが出てから受診しても、その痛みが「交通事故によるもの」と証明できない場合もあります。軽傷と考えているケガほど、時間が経つにつれて、交通事故によるものなのかが、わからなくなることが多いため、注意が必要です。
事故から何日までに通院しないという決まりはありませんが、事故から4日以上経過してからの通院については、保険会社から交通事故と受傷の因果関係が認められないと判断されやすい傾向があるため、なるべく早めに受診するようにした方が無難です。
保険会社が治療費を支払わないとなれば、治療費は当然自己負担となります。経済的な理由などから通院を控えてしまったり、症状の悪化を引き起こす原因にもなりかねません。
そのような事態を招かないためにも、病院に行き、事故原因のケガがあるか、治療が必要かどうかなどをしっかりと判断してもらうことが大切です。
軽傷でも慰謝料はもらえる?
治療費についてお話してきましたが、ここからは慰謝料請求について解説していきます。
交通事故で打撲や擦り傷などの軽傷のケガを負った場合、慰謝料がもらえるのでしょうか。
結論を言いますと、治療のために病院に通院した期間に応じてもらうことができます。
たとえば、5月1日に事故に遭い、当日から30日まで10回通院された場合、通院した期間は30日となり、30日を基準に算定することになります。
打撲などの軽傷で通院した場合の慰謝料はいくらになる?
具体的な慰謝料額について見ていきましょう。弁護士に依頼した場合に使用される、いわゆる赤い本における基準においては、下記が目安となります。
- (単位:万円)

たとえば、打撲やむち打ち症だと3~6ヵ月程度通院し、症状固定を迎えることが多いため、赤い本を参照すると、下記のような通院慰謝料が目安となります。
- 1ヵ月程度の通院であった場合 19万円
- 3ヵ月程度の通院であった場合 53万円
- 半年程度の通院であった場合 89万円
【注意!】打撲でも後遺症に発展することもある
打撲は軽傷と判断されがちですが、神経系の合併症につながったり、骨折を伴っていたりする場合、後遺症が残るおそれがありますので、軽く考えないようにしましょう。
特に頭を打撲した場合には注意が必要です。
頭部を打撲し、めまい、しびれ、頭痛や吐き気、意識障害(意識がもうろうとすること)の症状があらわれている場合、専門医による検査や治療が必須です。検査を受けずに放置してしまうと、手足の麻痺や言語の障害等の後遺症が残ってしまう可能性があります。
また、関節の周りの打撲は、関節運動のたびに傷ついた組織が動くため、関節拘縮を生じることがあります。関節拘縮を起こすと、半年以上の治療期間を要することもあり、後遺症として固まってしまうおそれがあります。
なお、打撲により痛みやしびれが残った場合、後遺障害等級として、12級13号または14級9号が認められる可能性があります。後遺障害が認められた場合受け取れる慰謝料金額については、保険会社からの提案であれば自賠責保険基準を参考とした金額が、裁判や弁護士に依頼している示談交渉などでは弁護士基準を参考とした金額が目安となります。
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第12級 | 94万円(93万円) | 290万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |
- ※()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合
交通事故による軽傷でよくある疑問
なぜ軽傷でも病院に行ったほうがいいのですか?
事故直後に通院していないと、後日痛みが出ても事故との因果関係が認めてもらえないことがあるからです。交通事故にあった場合には、必ず病院(整形外科)を受診しましょう。整形外科では、骨折等を調べるためのエックス線検査や、筋肉や神経への損傷を調べるためのMRI検査も行うことができます。
なお、整骨院や接骨院でも保険を使った治療(施術)を受けることはできますが、整骨院や接骨院は病院ではないため、医療行為である治療を受けることができません。また、整骨院や接骨院での施術については、保険会社が必要性を疑い、治療費を支払ってくれないこともあります。
【関連コラム】
後遺障害診断書を医師が書いてくれない!その理由と対処法
慰謝料以外に受け取れる賠償金はありますか?
打撲などの軽傷の場合であっても、通院のため早退された場合や、ケガにより仕事を休まざるを得なくなった場合には休業損害を請求することができます。
なお、仕事をしていない 主婦(主夫)などの家事従事者であっても、ケガにより家事に支障が生じた場合には休業損害を請求することが可能です。
そのほか、通院のためにかかった交通費や、必要となった診断書代など、交通事故により負担することになってしまったものも請求することができます。
【関連リンク】
交通事故被害で請求できる損害(ケガ・傷害)
まとめ
交通事故にあったとき、被害が打撲や擦り傷などの軽傷であったとしても軽く考えるべきではありません。繰り返しになりますが、軽い打撲の場合であっても、できるだけ早く病院で検査・治療を受けましょう。その結果、交通事故で通院を余儀なくされたとなれば、当然、慰謝料などを請求することになります。
しかし、過剰な通院は返還請求に発展することがありますし、そうでなくとも、通院を続けていると、保険会社から「治療を打ち切ります」と言われるケースもあります。ですから、交通事故にあわれたら、まず、交通事故の被害に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。弁護士に相談するタイミングは早ければ早いほうが、解決のスピードも速まる可能性があります。
特に、通院が長引いた場合は示談書の金額より増額する可能性が高くなります。弁護士特約に加入されている場合は費用倒れの心配もありませんので、「打撲やかすり傷程度で弁護士に相談するなんて」と思わず、気軽に相談してみましょう。
交通事故の被害はアディーレにご相談ください
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
弁護士費用特約が付いていない方は、アディーレ独自の「損はさせない保証」により、保険会社提示額からの増加額より弁護士費用が高い場合は不足分の弁護士費用はいただかないことをお約束します。(※)
また、アディーレへのお支払いは獲得した賠償金からお支払いいただく「成功報酬制」です。(※)
お手元からのお支払いはないため、弁護士費用特約が付いていない方でも安心してご依頼いただけます。
- ※委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いいただきます。
【関連リンク】
弁護士費用特約が付いていない場合の弁護士費用
弁護士費用特約を利用する方の場合は、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはり相談者の方・依頼者の方に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、相談者の方・依頼者の方は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
また、通常、弁護士費用がこの上限額を超えた部分は自己負担となりますが、アディーレにご依頼いただく場合は、保険会社の上限を超えた分の弁護士費用は請求いたしません。
お手元からのお支払いはないため、安心してご依頼いただけます。
- ※弁護士費用特約の利用を希望する場合は、必ず事前に加入の保険会社にその旨ご連絡ください(弁護士費用特約には利用条件があります)。
【関連リンク】
弁護士費用特約が付いている場合の弁護士費用
交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、アディーレ法律事務所にご相談ください。