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交通事故で壊れた車両の修理完了までにかかる費用はどうする? 弁護士が解説

[ 公開日:2022/04/05 ] [ 更新日:2022/09/03 ]
事故車両の修理費用
身体にケガを負うような交通事故が発生すると、多くの場合、自動車自体にも損害が生じます。
交通事故による損害のうち、自動車など「物」に関する損害を物的損害といいます。

物的損害は事故車両の修理費用に限られるものではなく、多岐にわたります。たとえば、事故にあった自動車を修理している期間の代車(レンタカー)費用などです。

そこで、今回の記事では、交通事故により車が壊れた場合、修理や代車などの費用は請求できるのかについて、トラブルを回避する手段なども混じえてご説明します。
この記事でわかること
  • 事故車両の修理費用を請求するときに知っておくべきこと
  • 代車費用を請求するときに知っておくべきこと
  • 診断書が必要になったとき弁護士に相談するメリット
目次

車の修理が必要になった場合に請求できる損害は?

交通事故が発生した場合、ケガの治療が必要になるだけではなく、自動車の修理が必要になるなど物の損害、すなわち物的損害が生じることがあります。

内閣府の「交通事故の被害・損失の経済的分析に関する調査研究結果について」によると、物的損害の損失額は年間約1兆8,000億円にのぼります。この金額はケガなどの人身損害なども含めた損失額全体のおよそ26%もの割合を占めます。
このように、交通事故においてはケガだけではなく、物的損害も被害者に大きな損失を与えており、被害者の救済という観点からは物的損害を適正な内容で示談することが非常に重要といえます。
物的損害には、自動車の修理費用のみならず、さまざまな損害が考えられます。そこで、交通事故の被害者がどのような物的損害を請求できるのか解説します。

事故車両の修理費用

事故によって損傷した自動車の修理費用を請求できます。
ここで請求できる修理費用は「これによって通常生ずべき損害」(民法第416条)に限られます。
つまり、相手に対して請求できる修理費用は、交通事故との因果関係が認められる範囲に限られるということです。

したがって、交通事故とまったく関係のないキズを修理することや、鈑金で修理可能であるにもかかわらず交換を行うなど、修理内容に相当性が認められない場合は、請求の一部を否定されるおそれがあります。

また、全損と判断された場合、走行距離や使用年数などを考慮して計算される車の価値(時価額)が賠償金の限度となります。
全損とは、車両の損傷が激しく物理的に修理ができない状態、または修理自体は可能ではあるものの修理代金が事故車両の時価額を超える状態をいいます。

事故で自動車が使えないから代車費用を請求したい!

自動車を修理する場合、修理期間中は乗っていた自動車を利用できません。そのため、修理中は代わりの自動車が必要となり、レンタカーを借りることがあります。その際、レンタカー費用(代車費用)を相手に請求できます。
代車は、修理工場から借りる場合と、レンタカー会社からレンタカーを借りる場合があります。

代車を借りるときの注意点

代車費用として請求できる賠償金は、以下の点が認められる範囲に限定されます。

  • 代車やレンタカーを借りる必要性がある
  • 車を借りるのに適切な額である

そのため、事故車と同クラスの自動車をほかに保有している場合や、修理期間を超えるレンタカー代などは、請求が認められない可能性があります。

個別の事情により異なりますが、レンタカーを借りる期間は、2週間程度が合理的な期間とされています。
また、事故車両が軽自動車であるにもかかわらず高級外車をレンタルするなど相当性を欠く(一般的に考えておかしいと判断される)場合は、同クラスのレンタカー費用を超える部分についての請求が否定される可能性があります。

相手に請求する際に大切なこと

このように、代車費用を請求しても相手に否定されてしまうことがあります。代車費用の請求が認められるかどうかは、個別の事情によって異なるため、相手との交渉が重要になります。

たとえば相当性が争いになった場合、「借りられたレンタカーがグレードの高い車両しかなかった」事実や、「相手保険会社からグレードを指定された」事実などを主張することで、請求が認められる可能性があります。

まずは、代車を利用する際に相手保険会社の了承を得ておき、トラブルを未然に防止することが重要です。
それでも争いが生じた場合、請求を認めてもらうように相手と交渉しなければならず、相手との交渉をできるだけ優位に進める必要があります。
しかし、相手の保険会社は交通事故のプロですから、交通事故のプロとはいえない被害者ご自身が対等に交渉することは難しいでしょう。
そこで、このような場合、交通事故に強い弁護士に相談して、交渉を任せることをおすすめします。

事故現場で自動車が動かなくなってしまった…

事故現場で事故車両が動かなくなってしまった場合には、事故車をレッカー移動して修理工場へ運ぶ必要があります。この場合のレッカー費用を相手に請求できます。

もっとも、レッカー費用も必要性と相当性が認められなければなりません。そのため、必要以上に長距離のレッカー移動をした場合等は、請求の一部が否定される可能性があります。

なお、自動車保険には、レッカー費用について補償する特約があるので、被害者ご自身が加入する保険で特約として補償できる場合があります。この場合、保険の等級には影響しないことがあります。

ほかにも請求できる損害がある!?

これまで説明した修理費用、代車費用、レッカー費用以外に相手に対して請求することができる損害を簡単にご説明します。

  1. 保管料
    事故車を修理工場などに一時的に保管することがありますが、これにかかった費用を相手に請求できます。
  2. 登録諸費用
    事故車が全損となった場合、購入時に支払った廃車費用や、代わりの自動車を購入したときの登録関係費用を請求できます。
  3. 休車損害
    事故車が営業車両であった場合、自動車を利用できなかった期間の営業上の損失を請求できることがあります。
  4. 積載物損害
    事故のときに事故車両に積載していた物が損傷した場合、その修理費用または時価額を請求できることがあります。

修理費用や代車費用はどのように支払うのか?

物的損害として、修理費用や代車費用が請求できることは説明しました。
しかし、実際にかかった修理費用や代車費用はどのように支払えばよいか疑問ですよね。過失割合ごとに以下で解説していきます。

過失割合が被害者にまったく生じない場合(過失割合0:100の場合)

この場合は、相手方の保険会社から修理業者およびレンタカー会社等へ費用が直接支払われることが多いです。そのため、相手方の保険会社に支払いを任せればよいでしょう。

被害者側にも過失割合がある場合

この場合、示談をしたあとに相手方の保険会社から賠償金として修理業者等へ支払われることが多いです。

しかし、示談交渉が長期化した場合、被害者が修理業者等から代金の支払いを請求されることがあります。被害者だとしても、修理業者やレンタカー会社との関係でいえば、実際に修理を行い、レンタカーを利用しているため、支払義務が生じるからです。

この場合は、被害者が一時的に費用を立て替えて支払うか、ご自身の加入している保険で支払うなどの対応が必要でしょう。もっともご自身で加入している保険で支払う場合には、自動車保険の等級が下がり、翌年以降の保険料に影響が出る可能性があるため、ご加入の保険会社とよく相談することをおすすめします。
なお、どうしても手元に資金がない場合には、修理業者やレンタカー会社との交渉により支払いを待ってもらうことも可能です。

修理費用を加害者に請求する場合は、いつまでに請求すればよいのか?

修理費用を請求する場合、いつでもいいわけではありません。最悪の場合、請求できなくなる可能性もあるので、損しないためにもこれから説明する内容をしっかりと理解してください!

物的損害の時効

物的損害の場合は、「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年間」(民法第724条)で時効となり、賠償請求権が消滅します。
そして交通事故の場合、事故発生の時点で「損害および加害者を知った」といえるので、事故日を起算点とします。
したがって、原則として事故日から3年以内に相手に対して請求する必要があります。ただし時効の更新手続を行った場合はこの限りではありません。

示談してしまうと請求できない!

示談とは、民事上の紛争を裁判によらず、当事者間の合意で解決することです。示談する場合、示談書を取り交わすことが一般的で、この示談書には清算条項が付されます。清算条項とは、当該示談書に定める以外には互いに何らの債権債務もないことを確認する条項です。
つまり、示談した場合には、原則として示談後に示談書に記載されていない損害を請求することはできなくなるのです。

したがって、相手に請求したい損害がある場合には、必ず示談前に相手に請求しなければなりません。

示談前ならいつ請求してもいいの?

では、時効完成の前もしくは示談前であれば請求の時期はいつでもよいのでしょうか?
結論からいうと、交通事故からできるだけ早い段階で相手に対して請求をするべきです。なぜなら、交通事故から時間が経つほど、紛争の生じる可能性が高まるからです。

たとえば、交通事故から時間が経過してしまうと、自動車のキズが今回の交通事故によるものか、事故と関係ないキズなのか判断できなくなり、修理費用の一部を否定されるなどのトラブルが生じることがあります。
したがって、トラブルを未然に防ぐという意味でも、交通事故から時間を空けずに相手に対して請求することが大切です。

示談交渉では過失割合が非常に重要

示談交渉するにあたって、相手から過失相殺を主張されることがあります。交通事故における過失とは、簡単にいうと交通事故の原因となった不注意のことです。
そして、交通事故における過失には、不注意の度合いを示す割合がつくことが通常です。これを「過失割合」と呼び、「3対7」や「0対100」といった数値で表現します。

被害者にも損害の発生について過失が認められる場合、過失割合に応じて、被害者に支払われる賠償金が減額されることになります(過失相殺)。

したがって、過失割合は賠償金額を決定するにあたって、非常に重要な要素となります。

修理費用や過失割合に納得できない場合は?

相手と交渉したものの、修理費用や過失割合を主張どおりに認められないケースは多くあります。
一般人と比べて、保険会社は交通事故の知識や交渉経験に差があり、保険会社が優位に交渉を進めることが多いからです。
しかし、修理費用と過失割合は賠償金額に直結する重要な要素です。安易に妥協してしまうと、被害者が思わぬ不利益を受けてしまう可能性があります。

また、示談交渉は主に保険会社の営業時間内である平日の午前9時から午後5時の間で行う必要があります。被害者が平日就労している場合、ご自身で交渉するのは大きな負担となってしまいます。

こんなときは弁護士へ相談を!

保険会社との交渉で納得いかない場合には弁護士に相談して、保険会社との交渉を任せることをおすすめします。
弁護士は、一般の人と比べて、交通事故について豊富な知識をもち、交渉にも慣れているため、保険会社と対等に交渉することができます。
また、交渉を弁護士に任せることができるので、被害者の負担を軽減することも可能です。
さらに、ケガを負っている場合には人身損害についても弁護士に依頼することで、慰謝料などを大幅に増額できる可能性もあります。

弁護士費用はやりくりできる?

弁護士に交渉を依頼すると、多額の弁護士費用がかかるのでは?と心配されている方も多いと思われます。
安心してください。現在では多くの自動車保険に「弁護士費用特約」を付帯でき、この特約に加入していれば、弁護士費用を保険でカバーできます。
また、あまり賠償金を増額できなかったとしても、あなたが損しないように成功報酬で動いてくれる弁護士事務所もあります。
したがって、修理費用や過失割合の交渉がうまくいかない場合には、早めに弁護士へ相談されることをおすすめします。

まとめ

いかがだったでしょか?
交通事故により、車が壊れてしまった場合における修理などの費用について解説してきました。
被害者が一時的に費用を立て替えるケースや、費用の請求が認められないケースもあることを理解していただけたと思います。
物的損害の損害項目は多岐にわたり、また内容を把握するためには高度な専門性を要求されます。
そのため法律に関する知識や、示談交渉に関しての経験がないままに相手の保険会社と交渉すると不利益な内容で示談してしまい、思いがけない不利益を被る危険があります。
したがって、少しでも不安や疑問を感じた場合、これらを解消して適正な内容で解決するとともに、日常生活における負担を軽減するため、すぐに交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修者
村松 優子
弁護士 村松 優子(むらまつ ゆうこ)
資格: 弁護士
所属:愛知県弁護士会
出身大学:愛知大学法学部

私は,司法試験を目指した当初から,親しみやすい法律家になりたいと考えていました。それは,私自身が弁護士に対して,なんとなく敷居が高そうというイメージを抱いていたからです。私は,司法試験に合格した後,学生時代の友人から,合格しても何にも変わらないね,安心したと言われました。弁護士になった後も,昔と変わらないねと言われ続けたいです。私は,ただすこし法律を勉強しただけで,そのほかは普通の人と何ら変わりはありません。なので,どんなことでも気軽に相談してください。

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3つのメリット
  • 01慰謝料が大幅に増額する可能性があります
  • 02適正な等級認定を獲得するためのアドバイスを聞けます
  • 03難しい手続きを弁護士に任せ、安心して治療に専念できます