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交通事故に関する用語集 は行

は行の用語

バビンスキー反射テスト [ばびんすきーはんしゃてすと]

腰椎捻挫などで中枢神経の障害が疑われる場合に実施されることがあります。検査器具(ハンマーの柄など)で足の裏を踵から爪先に向かってこすって反応を確認します。足の親指が外側にゆっくり反り返り、ほかの4本の指が外側に開く反応が出る場合は、脊髄中枢神経障害が疑われます。

針筋電図 [はりきんでんず]

筋肉の萎縮や筋力の低下など筋肉の状態を調べる補助的検査です。長さ5センチぐらいの細い電極針を筋肉内に刺して、筋肉に力を入れたり抜いたりしながら、電気の伝わり方(波形)を検査していきます。波形の大きさやその持続時間から、神経筋疾患の有無の診断をします。

交通事故により、頸椎捻挫(むち打ち)、外傷性頸部症候群、腰椎捻挫などを受傷し、症状が残ってしまった場合、後遺障害の有無を判断する材料として利用されます。

瘢痕[はんこん]

瘢痕(はんこん)とは、一般に「あばと」と呼ばれるもので、熱傷(やけど)、切り傷によって、皮膚ないし皮下組織に達する組織欠損が生じたあとの皮膚に肉芽組織ができ、その上を表皮が覆って治癒した状態のことをいいます。

交通事故で切り傷などを負ってしまった場合、そのあとが瘢痕として残ってしまうことがあります。このような場合、その瘢痕が残った部位(たとえば、顔など)や程度によっては、外貌醜状にあたり後遺障害として認定される余地があります。

半月板損傷[はんげつばんそんしょう]

まず、半月板とは、膝関節の間にある軟骨組織であり、膝の動きを助けるクッションとして機能する部位です。半月板は、左右の膝に2枚あり、断裂などにより、一度損傷してしまうと自然に治癒することは望めません。

半月板損傷による症状としては、痛みが生じたり、炎症により腫れあがったり、膝が曲がらなくなるなどの症状が挙げられます。

バイク事故などにより、半月板を損傷してしまった場合、同時に膝の靭帯を損傷することが少なくありません。その結果、歩行に障害が生じるようになってしまった場合には、後遺障害として認定される余地があります。

反射性交感神経ジストロフィー[はんしゃせいこうかんしんけいじすとろふぃー]

反射性交感神経性ジストロフィーとは、一般にRSD(The Reflex Sympathetic Dystrophy)と呼ばれています。具体的な症状としては、激しく焼けるような痛みや患部の腫れ、軽い接触による過敏な反応、皮膚の変化、骨の萎縮、発汗の異常などの症状が挙げられます。

人は、外傷を受けた場合、交感神経の反射により痛みを感じます。そして、外傷が治まれば交感神経の反射がなくなり、痛みも治まるとされています。しかし、交通事故の外傷により、この交感神経の反射機能に異常が生じた結果、外傷が治った後も交感神経の反射が続いてしまうことがあり、これがRSDの原因とされています。

RSDの診断や治療については医者であってもその判断が難しく、後遺障害の認定にあたっても、その立証が難しいとされています。後遺障害認定のためには、RSDが疑われる場合、早期に専門医を探し、受診しておくことが重要となります。

判例タイムズ[はんれいたいむず]

別冊判例タイムズ16号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂4版」(判例タイムズ社発行)には、交通事故が起こったときの車両などの位置や信号の色、道路の広さなど具体的な状況ごとに、双方の過失割合がどの程度になるのかという基準が示されています。赤い本と同様、損害賠償請求にあたって参考とされる基準ですが、赤い本の記載の割合と異なっている場合もあります。

被害者[ひがいしゃ]

自損事故ではない相手方のある交通事故(特に人身事故)において、自分も相手もケガをしてしまった場合、どちらが被害者なのでしょうか?

自賠責保険制度では、過失割合にかかわらず死傷した人はみな被害者として扱われます。ただし、被害者に「重大な過失(7割以上)」がある場合には、自賠責保険でも過失割合に応じた保険金の減額が行われます。

被害者請求[ひがいしゃせいきゅう]

被害者自身が、加害者が加入している自賠責保険会社に対して、損害賠償金の支払を請求することをいいます。本来は、加害者が被害者の方に賠償金を支払った後に自賠責保険会社に対してその補てんを請求する、という流れが予定されています。しかし、加害者が被害者の方に対してまったく支払を行わないという場合もあり、その場合の被害者の方を救済するために、被害者請求制度が認められています。

(1)被害者の方の過失割合が高く、加害者の保険会社が対応しない場合や、(2)加害者がそもそも任意保険を掛けておらず、損害賠償を支払う資力もないというような場合などに有効です。

上記のような場合でなければ、通常は加害者の任意保険会社が窓口となって、自賠責保険の支払分もまとめて(一括して)支払う一括請求の方法がとられます。その場合、任意保険会社は、自賠責保険の支払分を自賠責保険会社に代わって被害者の方に支払った上で、後からその分について自賠責保険会社から受け取ることになります。

膝クローヌステスト[ひざくろーぬすてすと]

腰椎捻挫などで中枢神経の障害が疑われる場合に実施されることがあります。検者(医師・理学療法士)は患者の膝のお皿を掴み、急激に下に押し下げて反応を確認します。膝のお皿が上下に小刻みに震えるような反応が出る場合は、脊髄中枢神経障害が疑われます。

ピッチ・マッチ検査[ぴっちまっちけんさ]

頸椎捻挫(むち打ち)や頭部外傷、耳の外傷などで、聴力障害(難聴を伴う耳鳴り)が疑われる場合に専用の耳鳴検査装置を使用して実施されることがある検査です。耳鳴りの音の高さや音色を調べることで、聴力障害(耳鳴りの音の高さ)の程度を判断します。急激な聴力障害(難聴を伴う耳鳴り)が生じた場合は、耳自体の損傷もしくは聴覚神経損傷が疑われます。

PTSD[ぴーてぃーえすでぃー]

PTSDとは、Post Traumatic Stress Disorderの略であり、日本語では「心的外傷後ストレス障害」と訳されます。危うく死ぬというような体験や重傷を負うといった恐怖体験により、強いストレスが加わったことで生じる心理的な外傷をいいます。

その症状としては、たとえば、原因となった体験を意図せず繰り返し思い出したり、夢に出てきたりするという再体験(フラッシュバック)や、体験を思い出すような状況などを意識的あるいは無意識的に避けるといった回避行動、さらには睡眠障害などの過覚醒があげられます。これにより社会生活・日常生活に支障を生じることがあります。

交通事故による恐怖体験により、PTSDが引き起こされることがあります。その結果、社会生活や日常生活に支障がでるような障害が残ってしまった場合、その症状の程度に応じて第9級、第12級、第14級の後遺障害が認定される余地があります。

不起訴処分[ふきそしょぶん]

刑事処分の1つで、検察官が、「加害者を起訴しない」と決めることです。すなわち、加害者は、刑事裁判にかけられないことになります。
この場合、入手できる刑事記録は、基本的には実況見分調書に限られてしまいます。

物損事故[ぶっそんじこ]

交通事故のうち、人に死傷がなく、自動車や着衣などの器物に損壊が生じた事故を(特に人身事故との区別の意味で)物損事故と言います。なお、自動車安全運転センターが発行する交通事故証明書では「物件」事故と記載されます。

物損事故は、純粋に器物の損壊だけ発生した場合のみでなく、警察に対し、傷害の被害申告がなされていない場合にも物損事故の扱いとなってしまいますので、注意が必要です。

また、物的損害については自賠責保険の適用がありませんので、物的損害の賠償額が任意保険の限度額の範囲内ならば任意保険から、限度額を超えた場合には、限度額を超えた分を加害者から賠償してもらうことになります。

  • ※「物的損害の請求のみのご相談」は承っておりません。何卒ご了承ください。

プルスルチアミン(P)・アリナミン静脈注射[ぷるするちあみん(ぴー)・ありなみんじょうみゃくちゅうしゃ]

頭部外傷や鼻の外傷などで、嗅覚障害が疑われる場合に実施されることがある検査です。プルスルチアミン(P)・アリナミンを静脈に注入し、注入開始からニンニク臭を感じ始めるまでの時間と、感じなくなるまでの時間を計測します。急激な嗅覚障害が生じた場合は、鼻自体の損傷もしくは臭覚神経損傷が疑われます。

紛セン[ふんせん]

正式名称は「財団法人交通事故紛争処理センター」です。

新宿に本部が、高等裁判所のある地方都市に支部が、さいたま市と金沢市には相談室が置かれています。
ここでは、無料の法律相談、和解のあっせん、審査を行ってくれます。

あっせんは、裁判所基準(赤い本青本)に基づいています。
注意点としては、(1)治療終了後あるいは後遺障害等級認定後の、損害賠償額を算定できる状態になっていることが必要であること、(2)自動車の関係しない事故については利用ができないこと、(3)相談者が自分で掛けている保険(人身傷害保険など)については利用ができないこと、(4)相手方が示談代行付きの保険に加入しておらず、センターでの解決を望んでいない場合については利用ができないこと、等があげられます。

このような諸点がある関係で、必ずしも紛センに持ち込めば解決に至るとは限りません。
一方、当事務所においては、以上のような制限でご相談をお受けしないということはありませんので、お気軽に面談予約を頂ければと思います。

平均余命[へいきんよめい、へいきんよみょう]

「ある年齢の人が、平均して、その後に何年生きられるか」を表す数字のことをいい、厚生労働省が平均余命表を発表しています。この数字は、たとえば、ある人に介護が必要な後遺障害が残ってしまった場合、将来の介護費用がいくらになるか、死亡してしまった場合の逸失利益はいくらになるのかを計算する際に関係します。

これらの損害は将来の費用の先払いとなるため、その分の利息相当額を控除するという中間利息控除が併せて問題となることから、平均余命に対応した中間利息控除率の基準として、ライプニッツ係数が用いられます。

併合[へいごう]

後遺障害が2つ以上あるとき、後遺障害の等級を決めるに際して、次のような取り扱いをすることを併合といいます。そして、そのように決定された等級を「併合~級」と呼びます。

後遺障害が2つ以上あるときは、重いほうの後遺障害の該当する等級による。
しかし、下記に掲げる場合においては等級を次の通り繰上げる。

  1. 第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重いほうの後遺障害の等級を1級繰上げる。ただし、それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が繰上げ後の後遺障害の保険金額を下回るときはその合算額を保険金額として採用する。
  2. 第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重いほうの後遺障害の等級を2級繰上げる。
  3. 第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重いほうの後遺障害の等級を3級繰上げる。

たとえば、バイクの事故により骨折した両肘に可動域の制限が残り、両肘それぞれの機能障害について後遺障害等級10級が認められた場合は、併合9級が認定されることになります。

ヘススクリーンテスト[へすすくりーんてすと]

頸椎捻挫(むち打ち)や頭部外傷、眼球の外傷などで、眼球運動障害(複視)が疑われる場合にヘスコオルジメーター(運動機能測定装置)を使用して実施されることがある検査です。検査は複像表のパターンで判断し、急激な眼球運動障害(複視)が生じた場合は、眼球自体の損傷もしくは視神経損傷が疑われます。

ヘルニア[へるにあ]

ヘルニアとは、体内の臓器など体の一部が、本来あるべき場所から逸脱してしまった状態をいいます。交通事故で問題となるヘルニアとしては、たとえば、追突などの衝撃による「腰椎椎間板ヘルニア」や「頸椎椎間板ヘルニア」が挙げられます。

ヘルニアにより、痛みやしびれ、麻痺などの神経障害が残ってしまった場合、後遺障害として認定される余地があります。しかし、椎間板ヘルニアなどは、交通事故のような外傷性のもの以外にも、加齢などの経年性からも起こり得ることから、多くの場合、交通事故によって生じたといえるか(因果関係)が問題となります。

また、もともと椎間板ヘルニアなどの症状がある人が事故により悪化したという場合には、賠償金が減額される原因にもなり得ます。

弁護士費用特約[べんごしひようとくやく]

加害者の方やその任意保険会社との示談交渉などを弁護士に依頼した場合に、発生する弁護士費用を自分が加入している任意保険会社が支出してくれる、という大変優れた特約です。

一般的に、「弁護士費用特約」の使用範囲はとても広く、自分が任意保険に加入している場合だけではありません。もし、自分が任意保険に加入していない場合でも、(1)配偶者(夫、妻)、(2)同居の親族、(3)別居の両親(未婚の場合)、(4)被害事故に遭った車両の所有者、が任意保険に加入していれば、弁護士費用特約の使用が可能です。
特に、自転車や歩行者として交通事故の被害に遭われた際、自動車保険や火災保険によって、弁護士費用がまかなえてしまうことにお気づきにならない方がたくさんいらっしゃいます。

保険料は年間1,500円程度ですが、ほぼすべての任意保険会社の限度額は300万円となっています。
ぜひ、弁護士費用特約が使用できるかどうか、確認されることをおすすめします。

  • ※保険会社の約款により細かい内容が異なるケースがありますので、ご注意ください。

べンダーゲシュタルトテスト[べんだーげしゅたるとてすと]

頭部外傷などで、高次脳機能障害が疑われる場合に脳器質性障害のパターンをつかむ心理学テストのひとつとして実施されることがあります。9個の幾何学的な図形の模写をさせて、得点化することで全体的な構造を把握する能力を調べます。「視覚・運動成熟度」の評価や発達障害のスクリーニング、神経機能や脳障害の評価により、高次脳機能障害の程度を判断します。

片麻痺[へんまひ、かたまひ]

片麻痺とは、上下肢のうち片側部分だけに運動麻痺や感覚麻痺などの麻痺が認められることをいいます。いわゆる半身不随の状態です。交通事故により脊髄を損傷するなどにより、片麻痺となることがあります。症状としては、片側半身の運動障害や感覚障害に加え、しびれや記憶障害、空間認知障害などの症状が現れることがあります。

補装具[ほそうぐ]

補装具とは、体の一部やその機能が失われてしまった場合に、失われた身体の一部やその機能を補完するために用いられる道具の総称をさします。たとえば、義肢(義手・義足)や車いすなどが挙げられます。また、杖・義眼・補聴器なども補装具に該当します。

交通事故により、体の一部やその機能が失われたために補装具を使用する必要が生じた場合、相当な範囲で補装具を購入するための費用が、損害賠償の対象として認められます。

ホフマン反射テスト[ほふまんはんしゃてすと]

頸椎捻挫(むち打ち)などで、中枢神経の障害が疑われる場合に実施されることがあります。検者(医師・理学療法士)は人差し指と中指で患者の中指を挟み、指先を弾いて反応を確認します。親指が曲がる場合は、脊髄、錐体路など、中枢神経の障害が疑われます。